2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K12324
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
林 尚輝 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任講師 (60965094)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 植物珪酸体 / 最終氷期 / 古環境 / 埋没土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
照葉樹林は、現在、西日本の大部分の自然植生になっているが、約20,000年前の最終氷期最寒冷期頃には九州南部以南や四国の沿岸部に限って分布していたと推定されている。しかし、九州南部以南における最終氷期の植生を直接示す化石記録はほとんど得られておらず、実際にどういった地域にまで照葉樹林が分布していたのか、また、最終氷期最寒冷期の以前からどのように照葉樹林の分布域が変化してきたのかについては明らかになっていない。本研究課題では、九州南部における更新世末期~完新世初頭の照葉樹林の分布域の変遷を明らかにすることを目的として、埋没土壌の植物珪酸体分析を行い、大隅・薩摩半島~大隅諸島の最終氷期最寒冷期以前からの過去約50,000年間の植生変遷を復元する。 2023年度は、まず、埋没土壌中の木本植物由来の珪酸体を同定するため、大阪公立大学付属植物園より照葉樹を中心に約80種の木本植物の葉身試料の分譲を受け、珪酸体の標本を作製した。次いで、種子島や鹿児島県の大隅半島において現地調査を行なった。種子島の2地点と大隅半島の1地点で約7,300年前の鬼界アカホヤテフラと30,000年前の姶良丹沢テフラに挟まれる埋没土壌を採取することができた。また、以前に採取していた種子島の埋没土壌試料について、植物珪酸体の抽出処理を進め、検鏡を行い分析地点周辺の植生を復元した。分析結果から分析地点周辺では、30,000年前以前(最終氷期最寒冷期以前)には照葉樹林が発達していたが、最終氷期最寒冷期に入るとかなり衰えていたと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、現生植物試料・埋没土壌試料ともに分析に十分な点数・量を採取することができた。植物珪酸体の抽出処理や検鏡についても順調に進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2023年度に採取した大隅半島や種子島の埋没土壌試料について珪酸体の抽出処理、検鏡を進める。また、三島村黒島や屋久島で現地調査を行い、埋没土壌の採取を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
物品費や旅費の一部を大学から交付される研究費で賄えたため、次年度に繰り越された。次年度の消耗品や備品購入に繰り越し分を使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)