2024 Fiscal Year Research-status Report
法秩序の間主観的な構成過程の現象学的解明:法秩序の動態の現象学的把握に向けて
| Project/Area Number |
23K12352
|
| Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
宮田 賢人 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (40881420)
|
| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
| Keywords | 法理学 / 法哲学 / 法現象学 / 現象学 / エトムント・フッサール / フリッツ・シュライアー / 法秩序 / 純粋法学派 |
| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、第一に、「法への現象学的アプローチの課題と可能性 :法哲学者の観点から」および「純粋法学と現象学:Fritz Schreier の法現象学とその可能性」の2本の論文を研究成果として公表した。前者では、法への現象学的アプローチの可能性と課題を現代法哲学の観点から整理・考察することを目的として、法哲学の中心的主題のうち、「法の一般理論」と「法律学的方法論」との関係で、法的本質直観の分析、法秩序の静態的/動態的現象学、法的価値の構成分析、法的思考における暗黙知の現象学的解明、批判的法現象学という五つの課題を摘出した。後者では、ハンス・ケルゼンの弟子であるとともにエトムント・フッサールの現象学から強い影響を受けていたフリッツ・シュライアー(Fritz Schreier)の法理論を取り上げ、彼の現象学的法理論の要点を紹介するとともに、法現象学のありうる展開可能性を考察した。第二に、昨年度から引き続き、ソフィー・ロイドルト『法現象学入門Einfuehlung in die Rechtsphaenomenologie』(2025年4月に法政大学出版局から公刊予定)の翻訳作業に携わった。同書は、エトムント・フッサールが現象学を提唱してから今日に至るまでの法現象学の企てを網羅的にサーベイ・整理したものであり、本研究を次年度以降さらに展開していくうえで重要な文献である。第三に、次年度の研究の準備として、ジョセフ・ラズの法理論およびヴィサ・クルキ(Visa Kurki)の法的人格論について重点的に文献調査をし、それらの理論が抱える課題およびそれらに対する現象学的アプローチの可能性について整理した。第四に、ハイデガーに影響を受けつつ法の現象学的存在論を構想し、それにもとづいて事物の本性論を論じたヴェルナー・マイホーファーの所説を調査し、その現代的意義について整理した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度においては、ジョセフ・ラズの法理論および法的本質論を現象学の観点から検討する論考を執筆予定だが、その準備が予定通り進展しているため。
|
| Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる次年度においては、次の5つの点に主に取り組みたい。第一に、法的本質論を現象学的な観点から考察し、法理論家による法概念論の構築が、法秩序の間主観的構成過程においてどのような位置付けを占めるかを明確化する。第二に、ジョセフ・ラズの法理論(とりわけ彼の実践的理由や法の権威をめぐる議論)を現象学的観点から考察・補完し、それを通じて、法秩序の間主観的構成過程のより精緻な解明を試みる。第三に、これまでの本研究課題の総括として、法現象学の可能性の探究を主題とするワークショップを日本法哲学会において企画し、法現象学に関心のある研究者たちとディスカッションの機会を設ける。第四に、次年度の10月から予定しているドイツ・フランクフルトでの1年間の在外研究の機会を利用して、『法現象学入門』の著者であるソフィー・ロイドルト氏(ダルムシュタット工科大学)と交流を深め、本研究の展開可能性について意見交換を行いたい。第五に、今後の本研究の展開可能性の一つとして、法的人格論への現象学的アプローチの可能性を考察する。
|
| Causes of Carryover |
報告者は、次年度の10月からドイツ・フランクフルトでの1年間の在外研究を予定しており、その影響で、次年度の国外渡航費が増加することが見込まれている。それに対して今年度は国外出張の必要がなかったため、今年度分の研究費の一部を次年度に繰り越した。
|