2023 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical Study on Changing International Tax Law and International Double Taxation Elimination
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23K12366
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
堀 治彦 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (80911388)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国際租税法 / 租税法 / 国際課税 / 国際的二重課税 / 租税政策 / 国際租税改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は本研究課題の研究初年度に該当する。2021年10月のOECD/G20における国際租税に関する大規模な合意の影響を踏まえた変容する国際租税法の枠組みを考察するため、実施計画の通り、文献資料等の収集を進め、研究のサーベイを広範に行った。 成果として、①マギル大学(カナダ)において行った報告"How Japan Reacted to Changes in International Taxation: Focusing on the Responses of Japanese Companies"と、②税務会計研究学会第35回全国大会特別委員会中間報告で行った「事業体とグローバル・ミニマム課税―多様な事業体の判定を中心とした検討」などの複線的な報告を行うことができた。 前者は、国際課税制度の変容等により、日系多国籍企業がどのような影響を受けるかという観点から検討を試み、国際課税制度が変容するにあたって税負担の多寡についての影響を懸念する他国の多国籍企業とは異なり、事務負担の観点からの懸念が散見されることなどを指摘した。後者は、前述の国際合意を受け、各国諸制度の再構築が進むなかでわが国においても国内法制化されたグローバル・ミニマム課税について検討を試みた。とりわけ、グローバル・ミニマム課税の観点から事業体がその適用対象となるか否かという部分において問題関心を寄せた。 本研究のコアとなる各国の課税権の理論的検討においては、国際的二重課税排除のソリューションのひとつと目される多国間条約の条文案とコメンタリが2023年10月に公表されたものの、国際合意が難航し、実施スケジュールが不透明になっている。この論点については、海外出張等による情報収集を踏まえ、2024年度において検討報告を行い(報告済)、論考を専門誌に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実施計画の通り、文献収集やサーベイを行い、かつ複線的な検討を行うことができたこと。国際会議への参加等も踏まえ最新の国際租税改革の動向をフォローし、不透明な改革のスケジュールを考慮しつつも、その検討・分析などのアウトプットに着手できたことから上記の進捗状況区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも言及したように、国際的二重課税排除のソリューションのひとつと目される多国間条約の条文案とコメンタリが2023年10月に公表されており、かかる検討分析を進め、段階的に論文執筆などのアウトプットへ繋げるフェーズに移行する。他方で、国際租税改革の潮流においては、多くの関連する論点が散見されるため、本研究のコアとなる論点に加え可能な限り検討を行う。
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Causes of Carryover |
理由:円安の進行、海外の物価高、COVID-19及びウクライナ危機の影響による資源価格の高騰などにより、海外渡航費用が想定よりも高額となったこと、独立基盤形成支援(試行)の採択と併せ、執行のバランスの内訳を変更したことなどの理由から、当該年度の予算における書籍等の執行に残余分が生じた。 使用計画:次年度において、残余分は上記の理由などを考慮し日本語および外国語文献の購入や国内旅費・国外旅費等に研究費を支出する見込みである。
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