2023 Fiscal Year Research-status Report
国家と諸個人の自由をめぐる考察:フランスの「公序」の視角から
Project/Area Number |
23K12367
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田中 美里 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 講師 (30906897)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | フランス憲法 / 熟議民主主義 / 気候市民会議 / 公序 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、フランスにおける気候市民会議の試みや労働法分野における合理的配慮の観点から、フランスにおける民主主義観や平等観などの検討を行った。 もともと「公序」とは、基本権の制約を正当化すると共に、国家による介入を行うことで、人々の間の権利保障の公平な調整を行う概念であるが、気候市民会議などの新たな民主主義的参加のための政策の推進によって、ますます、権利保障の程度や限界の問題は、民主主義による熟議によって決定される問題へと変遷してきているように見受けられる。このことは、すなわち、「公序」という法概念の内容もまた、民主主義によって決定される傾向が出てきているということである。 労働法分野においても「公序」という概念は発展を遂げている。この点はまだ検討不足であるが、労働法分野における「公序」にはあらかじめ、公平性の観点や労働者の健康状況への配慮などの観点から織り込まれているようである。 「公平性」の解釈の多様化とともに、「公序」という概念の中身の決定も以前ほど容易ではなくなってきているように思われ、このような傾向に対して、フランスは、決定への市民の参加を重視することで、一定の対処を試みているのではないかとも考えられるが、この点については、より詳しい検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していたよりも研究の時間の確保することができず、民事法や刑事法分野での「公序」の用いられ方についての検討をすることが出来ていない。またフランスでの現地調査も行うことが出来ていないため、今年度の実現を試みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、フランスにおける新たな市民参加への試みについての評価をまとめ、それについて、憲法学の観点からの検討を加えたい。とりわけ「公序」という概念への影響がどのようなものであるかについて、重点的に検討していきたい。 また、労働法をはじめ、民事法、刑事法、あるいは、国際法の分野における「公序」という概念の用いられ方についても検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度に、本来であれば、フランスでの現地調査や資料収集を行う予定であったが、学内業務などとの関係でそれが叶わなかった。2024年度には、フランスでの現地調査・資料収集を行う予定であるが、その際、この予算を用いる予定である。
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