2023 Fiscal Year Research-status Report
デジタルプラットフォームによる「自己優遇」と競争法
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23K12380
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
宍戸 聖 成蹊大学, 法学部, 准教授 (40848933)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | デジタルプラットフォーム / 自己優遇 / 独占禁止法 / 競争政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はデジタルプラットフォームが自社のサービスを優遇するような行為を自社のプラットフォーマーとしての立場を利用して行う場合に、競争法上どのような評価を行うべきか、その評価枠組みを整理・解明することにある。初年度は「自己優遇」と呼ばれることもあるこのタイプの行為について、排除型私的独占として評価する場合の評価枠組みについて理論の整理を行った(成蹊法学98号)。この研究成果をさらに発展させたものを査読付きの国際学会において発表している。この内容は翌年度に英語論文として公表することを目標としている。 そのうえで、デジタルプラットフォームによる自己優遇の問題のアナロジーとして、製品の仕様変更やプログラムの書き換えによるプリンターとインクカートリッジのような、補完財の技術的抱き合わせの事例に関する研究をすすめた。この研究成果の一部は実務家向けの学会である「競争法フォーラム」にて公表しており、残りの研究成果は2024年度に論文として公表する予定である。 また、類似の問題が懸念される新たな領域であるブロックチェーン分野についても、その理論的な背景の整理を行った(NBL1252)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要でも述べたように、初年度の研究業績は論説論文2本、大規模な口頭発表2件、うち1件は査読付きの国際学会であり、その他の本研究に関連する判例評釈や小規模な口頭発表も含めたら相当な数の研究業績となり、非常に順調に研究実績を積み上げているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は初年度に行った研究をさらに発展させ、自己優遇型の行為に対する評価枠組みの理論的な整理を英語論文として公表すること、自己優遇型の行為について具体的な不公正な取引方法等での規制の在り方について網羅的に論じること、プリンター等の補完財の技術的抱き合わせ事案に対する独禁法上の考え方について、比較法を踏まえて包括的な議論を提示することの3点が理想的な目標である。実際には、このうちのどれか二つを完成させることができれば十分に研究成果を得られたものと考える。
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