• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

外交官はなぜ回顧するのか

Research Project

Project/Area Number 23K12407
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

湯川 勇人  広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (00824393)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords日本外交史 / 回想録 / 外交思想 / 東京裁判
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、テーマに関連する先行研究を整理すると同時に、研究実施計画に示した「①占領期」の元外交官の回想記録の収集、分析に取り組んだ。なかでも重点的に取り組んだのは、占領期に発表された元外交官による回想録やその他回想記録にはいかなる傾向があるのかという点と、東京裁判の前後で、元外交官の回想の内容にいかなる変化が生じたのか、という点である。その結果、以下の点が明らかとなった。
①先行研究の状況は、太平洋戦争や戦争へ至る政治過程への回想については、戦地から帰還した元兵士の回想録から、戦中及び戦後の日本人の戦争観を分析した研究が豊富であり、また、多くの研究でGHQによる一連の占領政策が、戦後の日本人の史観に影響を与えているという指摘がなされている。元外交官の回想録の分析や史観の分析に踏み込んだ研究は少ないものの、こうした先行研究の知見をふまえ、特にGHQの提示した太平洋戦争史観や東京裁判が占領期に発表された元外交官の回想記録にいかなる影響を与えたのかを分析することは、その人物の回想を発表した時期の思想や回想を通じて自己の立場をどのように表明しようとしたのかを明らかにする視角になり得ると判断した。
②以上のことから、占領期の元外交官の回想記録を分析するにあたっては、その人物の政治的な立場(所属政党や政治的役職)にも留意しつつ、GHQの占領政策(特にメディア政策や言論政策)と東京裁判の影響を重点的に分析した。その結果、終結前に発表された回想記録には、特定の事象の回想に集中している傾向があること、一方で、裁判終結後あるいは占領期後期には、より広範な事象を回想する傾向があることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は研究実施計画に示した①占領期における元外交官の回想記録の収集、分析を行った。特に、有田八郎を軸として、その他の元外交官の回想との比較や、占領期に発表された回想記録が有する傾向について重点的に研究を進めた。一方で、研究実施計画の②、 ③、④の期間については、十分な史料収集は実施することができず、また、研究を進めた占領期についても、史料の収集・分析は順調に進んだが、論文の執筆段階までしか進まず、成果物の発表は次年度に持ち越すこととなったため、研究の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

「研究実績の概要」で示したこれまでの研究成果を論文としてまとめて発表すると同時に、「研究実施計画」の②1950年代前半と③1950年代中頃の研究に着手する。

Causes of Carryover

当初の計画では、初年度にデータベースを3件購入する予定であったが、研究計画通りに研究を進めることができず、3件目の購入しそれを利用して研究を進める段階に至らなかったため、次年度使用額が生じた。この額は、今年度中に未購入のデータベースを購入することで使用する計画である。

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi