2023 Fiscal Year Research-status Report
Measuring and Reducing the Cost of Political Information Processing
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23K12419
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
SONG JAEHYUN 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (70822617)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 選挙研究 / 政治的情報 / 争点投票 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は4件の学術論文、3件の学会報告を行い、これらの研究成果の多くは本研究課題の関心事の一つである「情報と選択/情報と選好」に関わるものである。以下では2023年度に公刊された4件の学術論文の概要を述べる。 1. 「Comparing public support for nuclear and wind energy in Washington State」ではワシントン州の住民を対象としたサーベイ実験と地理空間データを使用し、エネルギー政策に関する情報(メリットとでデメリット)が均一な処置効果をもたらすのではなく、地理的に不均一な効果があることを示した。 2. 「Does partisanship shape public support for suspending U.S federal gas tax? A survey experiment」ではアメリカ国民を対象としたサーベイ実験を用い、ロシア=ウクライナ戦争によるエネルギー問題に対処するために連邦政府の政策に関する情報が有権者の選好に与える影響を分析した。 3. 「行財政改革に対する支持態度と共同体への負担」では自分の利益になりにくい公共財拡充に対する税負担が行われやすい条件として、行財政改革に対する態度と情報が一定の役割を果たすことを高槻市民調査から明らかにした。 4. 「投票率40%という「防衛ライン」と投票率86%という「理想」―義務投票制導入を巡る有権者の態度―」では日本における義務投票制の導入可能性についてサーベイ実験を用い、検討した研究であり、日本では支持されにくい制度であるものの、制度設計次第では抵抗感を緩和できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は1年目として主に前回の研究課題の続きと完成、次年度以降の研究のための文献調査がメインとなっていた。文献調査および調査案の設計等は可視化が困難な成果であるが、本研究課題は前回の研究課題(19K13603)の延長であることを考慮すると、情報と選好に関する研究成果が3件公表された点は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のメインとなる調査は2025年度の参議院議員通常選挙であるため、引き続き文献調査および調査案の設計を継続する。ただし、2024年度は韓国の総選挙が予定されているため、比較分析のために韓国を対象とした調査を実施する予定である。また、2024年度中に衆議院の解散に伴う選挙が行われる場合、クラウドソーシングを活用したパイロット調査もまた行う。
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Causes of Carryover |
本年度は研究に使用するPCと学会参加費として研究費を使用したが、海外製のPCの場合、日本円の金額が安定せず、変動幅が非常に大きい。本年度の残額(次年度使用額)は44720円(本年度直接経費の約6%に相当)であり、想定内にの残額と考えられる。残額は次年度の消耗品購入等で使用する予定である。
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