2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K12446
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日野 将志 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (30906920)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 長期債務 / 住宅購入 / 異質の家計 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は単純化したモデルの試行、リテラチャーレビューおよびリサーチクエスチョンの検討を行った。具体的に、分析を単純化するために、住宅を捨象し長期債務のみの単純化した異質の家計モデルの構築とシミュレーションを試行した。しかしながら、このような単純化されたモデルでは事前に予想したほど、利子率の変更に対して目新しい結果が得られなかった。そこで、新規性のある結果を出すためには、モデルを複雑化する必要性を実感した。 しかし、この種のモデルを複雑化するのは困難であるため、リテラチャーレビューと関連の研究を行っている研究者と事前に話をすることでモデルの単純化方法を模索した。住居をモデルを数値的に解く際に複雑化する原因の一つが、住居を買うかどうかというエクステンシブ・マージンの選択と、どのような質の住宅を買うかというインテンシブ・マージンの選択、この二つの選択が存在するためである。この分野の研究を行っている研究者によると、インテンシブ・マージンの選択を捨象し、家を買うかどうかの選択だけをモデル化しても、現実の相当程度を捉えられそうな感触を得た。そのようにすることで、数値的な選択は基本的な消費や流動的資産および長期債務のみになり、モデルの複雑さを最小限に保ったまま分析を行うことが出来る。しかし、この方法の注意点としては、年齢ごとの住宅保有率のデータとマッチさせる際に問題があり、取り扱いの難しさがあることも分かった。したがって、今後はインテンシブ・マージンを捨象した住宅のあるモデルを用いて、現実的な年齢ごとの住宅保有率にマッチさせるように、モデルの拡張を検討する必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は単純化したモデルの試行とリテラチャーレビューを行うことが当初の見通しであった。これは上記の通り達成されたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きリテラチャーレビューを継続しつつ、今後の方針としては、第一に今後はインテンシブ・マージンを捨象した住宅のある長期債務のモデルを構築し、現実的な年齢ごとの住宅保有率にマッチさせるように、モデルの拡張を検討する。 さらに可能な限りにおいて、モデルの精緻化を目標としている。現時点では、住宅ローンを組む際には固定金利と変動金利の両方が選択できるような拡張と、硬直的な賃料の賃貸市場が存在する住宅モデルの二種類が重要ではないかと考えている。またリテラチャーレビューによって、長期債務が及ぼす役割についてさらなる検討を重ねる。
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Causes of Carryover |
コロナ期間に未消化であった予算を優先的に利用したために、こちらの予算を繰り越す必要が生じた。
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