2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K12473
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
定行 泰甫 成城大学, 経済学部, 准教授 (90800920)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ヘドニック / 空き家 / 事故物件 / アクセシビリティ / 地理情報 / 外部性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、詳細な地理空間情報を活用し実証経済学で学術的蓄積のある因果推論の手法を検討することで、空き家や心理的瑕疵物件といった都市問題において、適切な政策形成に資する経済学的エビデンスを提供することを目的としている。 空き家に関する研究では、豊島区が実施した戸建て空き家調査の個票データをを用いて、空き家の外部性分析を進めた。以前、空き家の外部性に関してSadayuki et al. (2020)ではクロスセクションデータを用いて単純な重回帰モデルによる分析を行っており、立地の内生性による推計バイアスに十分に対応できていなかった。今年度は、操作変数法、および、パネルデータを用いた分析を進めた。結果、内生性を考慮した場合においても、空き家による有意な外部不経済が確認された。 事故物件に関する研究では、事故物件サイト「大島てる」の管理者から提供された事故物件と、不動産流通機構から提供された賃貸物件と売買物件の取引データを用いて、事故物件の外部性の定量分析を進めた。結果、事故物件の外部性は、賃貸物件よりも売買物件に大きな影響があること、さらに、売買物件において、事故死が起きた当該物件だけでなく、同じ建物内の他の住戸の売買取引にも悪影響が及んでいることがわかった。これは、事故死が起きた当該物件の購入者だけでなく、事件が起きた同じ建物内にある他の物件を購入する購入際に対しても、心理的瑕疵が生じているということを意味している。賃貸物件では大きな影響が見られなかったが、これは、賃貸者は事故死を気にしないということではなく、建物内の事故死について認知していない可能性が高いと考えられる。今年度は、神戸大学セミナー、応用地域学会、環境経済政策学会、米国応用地域学会にて研究発表を行い、そこで得られたフィードバックをもとにディスカッションペーパーを執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にある通り、空き家と心理的瑕疵物件の分析が順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
空き家に関する研究では、操作変数法、および、パネルデータを用いた分析を、ディスカッションペーパーにはまとめ、研究課題の中で成果に結びつけていく所存である。また、空き家活用株式会社との共同研究で利用可能となった全国空き家調査の横断面データ(調査が1回のみのデータ)を用いた分析を実施する。 事故物件に関する研究では、海外雑誌に投稿する予定である。当研究では、主に事故物件サイト「大島てる」に公表されているデータを用いたが、心理的瑕疵物件の影響はそうした情報開示の問題と強く関係している可能性がある。本研究助成では、不動産業者の協力を得て入手した心理的瑕疵物件の情報から、ネットでの掲載有無による影響の違いを検証する。さらに、本研究では価格への影響だけでなく、市場滞留期間や人々の入居・退去への影響を見ることで、地域社会に及ぼす影響をより包括的に検証する。
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Causes of Carryover |
想定よりも国内・海外出張費用を安く抑えることができたため。次年度以降はデータ整備、及び、各種ソフトウェアのサブスクリプション経費に充てる。
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Research Products
(6 results)