2023 Fiscal Year Research-status Report
Building Ethnic Coexistence and Market Opportunities in Fragile Societies through Field Experiments
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23K12478
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
原 朋弘 武蔵大学, 経済学部, 専任講師 (10974024)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 民族融和 / 職業訓練 / 市場機会 / ランダム化比較実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年7月16日から8月1日にかけて、調査対象地域であるナイロビを訪問し、現地の調査会社(Grassroots Walkers社)及び協力NGO(Accept International)と調整を行った。研究対象であるAccept Internationalが実施する職業訓練プログラムを視察し、本格的な介入及びインパクト評価のための方策を議論した。また、調査ソフトウェアが正常に動作するかを確認し、分かりにくい質問や不要な質問の洗い出しを行った。 調査で用いる社会心理学の研究手法であるImplicit Association Testは、オフライン環境下にてマイナー言語(スワヒリ語)にて調査が必要という、既存の研究環境とは異なるイレギュラーな状況であった。同様の環境でIATを実施する研究者と共同でソフトウェアの開発に取り組み、スワヒリ語・オフライン環境下での調査体制を構築した。本プロセスは、Santos et al. (2023)として現在専門誌に投稿中である。視察時には、新しく開発されたソフトウェアを用いることで円滑にIATを実施することが確認された。 視察中、職業訓練のターゲットである「犯罪リスクに巻き込まれる可能性が高い人々」をどのように集めるかが新たな論点となった。今後は、効率的・効果的な対象人口のターゲティングも今後の研究に盛り込む予定である。 2024年2月には、共同研究者の所属するエセックス大学にて研究倫理審査の書類を提出した。「犯罪に巻き込まれるリスクの高い人々」を意図的に集めるという意味で、研究員の安全やプライバシーの保護といった研究倫理や安全上の問題点に十分な配慮が必要である。エセックス大学の専門家と様々な協議をしたうえで、研究倫理上問題がないとの承認を得た(承認番号: ETH2324-0215)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、予定通りケニア・ナイロビに渡航をし、現地関係者との調整を行うとともに、調査モジュールのパイロットを実施し、本調査への目途を立てることが出来た。また、新たな課題である調査対象者のターゲティングについても、効率的なターゲティング方法を検証する新たな研究課題を設定し、実施の目途を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年7月または8月に再度渡航し、再度ターゲティングを実施するのと同時に、トレーニング時の質問票調査の調整を行う予定である。次回の渡航で最終的な調査プロトコルを確定させる。また、確定した調査プロトコルをもとに実験前分析プラン(Pre-Analysis Plan: PAP)を執筆し、アメリカ経済学会のデータベースに登録する。 次回渡航に向け、現在は、渡航時の2024年2月・3月の訪問で得られた課題をもとに、質問票や研究プロトコルの精緻化を進めている。 2024年9月以降に本調査を開始し、2025年度の調査完了を目指す。
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Causes of Carryover |
パイロット調査にかかる費用が予定よりも少なくなったため、未使用額が生じた。次年度以降に行う本調査に使用する計画である。
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