2023 Fiscal Year Research-status Report
生産性スピルオーバーの波及経路の解明:空間確率フロンティアモデルの開発と応用
Project/Area Number |
23K12481
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
塚本 高浩 中京大学, 経済学部, 講師 (90906223)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 生産性スピルオーバー / 産業立地 / 空間確率フロンティアモデル / 生産性ホットスポット / 地域間産業連関表 / スパースモデリング / 効率性 / 空間計量経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,どのような産業立地形態を誘導することが生産性向上にとって望ましいかを解明するために,空間的な生産性のスピルオーバーの波及経路や生産性のホットスポットが生じている地域を実証的に示すことである. 生産性や効率性を確率フロンティア分析などで推定し,それを被説明変数として回帰するといった2段階推定法は,仮定に矛盾が生じることを起因とする統計学的な問題を有する.よって本研究では生産性の推定と同時に生産性のスピルオーバーや生産性のホットスポットを検出できる1段階推定手法を開発を目指す. 研究初年度である今年度は,既存研究のレビュー及び開発を目指す統計モデルの検討を行った.より具体的には,生産者間の空間的相互依存関係を描写できる空間計量経済学的な知見を導入した空間確率フロンティアモデルと画像処理の分野等で使われているスパースモデリングの手法の併用によって生じうる問題を整理した.また,生産者間の相互依存関係が地理的距離にのみ依存するというのは,高度に分業化された現代では考えづらい.近年の情報通信技術の発達は地理的距離の影響を弱めている可能性もある.さらにこのことは,コロナ禍でより顕著になっていることも考えられる.そこで地域間産業連関表の情報の活用し投入産出構造も含めてモデリングすることも有用な方法であると考えられる.来年度はより具体的な実証分析を見据えた統計モデルの構築を図っていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,既存研究のレビュー及び開発を目指す統計モデルの検討を実施できた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,実証分析を見据えた統計モデルの構築及び効率的な推定手法の開発を行っていく.また,実証分析における地域間産業連関表の活用方法などを検討する.
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Causes of Carryover |
当初計画していた分析に必要な機器類の購入を後ろ倒しにしたため次年度使用額が生じた.時期こそずれたものの当初計画と同様の使用計画とする.
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