2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K12491
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
猪野 明生 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 講師 (00908725)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / 不完備市場 / 財政学 / 財政再建 / 消費税 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、政府債務のある不完備市場モデルを構築した。通常の不完備市場モデルでは国債の金利と資本収益率が等しくなり、低金利の状況を生み出せないことから、先行研究では効用関数に国債を入れるBond in Utilityの仮定がおかれているものの、 不完備市場モデルで用いられる数値計算手法ではBond in Utilityのモデルを解くことは困難なため、家計は資産の一定部分を国債の形で保有する必要があるという仮定を置いた。また、特に課税の文脈では所得税が存在するために家計の労働供給行動が重要であり、その点を強調するために労働が内性の場合・外性の場合の分析を行っている。 Hansen and Imrohoroglu(2023)が整備したマクロモデルを推定するための日本のSNAデータを用いて、2019年時点でのデータと整合的になるようパラメータをカリブレーションした。特に割引率と労働の不効用パラメータについては、モデル上の資本生産量割合及び労働時間が現実のデータとマッチするように設定している。 そのうえで、日本の財政再建に必要な税額を代表的個人・完備市場モデルを用いて推計したHansen and Imrohoroglu(2016)と同様の、 今後高齢化が進み財政負担が増した場合に必要となる税額について、消費税・所得税・資本課税のそれぞれを用いた場合についての分析及びリスク回避度・労働の代替弾力性のパラメータが変化した場合の感応度分析を行った。 分析結果を論文にまとめ、英文査読雑誌に投稿する前にフィードバックを得るためにカンファレンスに投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析結果を論文にまとめ、カンファレンスに投稿する段階まで来ており、このまま順調に進めば英文査読誌への掲載が研究機関内に可能であるため
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Strategy for Future Research Activity |
カンファレンスや学会などでのプレゼンテーションを重ね、研究者からフィードバックを受けた上で論文の改定を行い、英文査読誌への投稿を進める。 また、労働供給が内生の場合の不完備市場モデルによる財政の分析はあまり例がないことから、その点を強調した分析を米国のデータを用いて行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は国内学会のみの参加となったため国外出張がなく、その分差額が生じた。次年度の出張に利用する予定である。
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