2024 Fiscal Year Research-status Report
An Analysis of Bond Price Formation Process Considering Stock and Bond Market Liquidity Risks
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23K12501
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| Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 流動性リスク / 信用リスク / 社債価格 / 株式価値 / 最終利回り / ディーラー / 債券市場 / 株式市場 |
| Outline of Annual Research Achievements |
令和6年度の研究実施計画通り、ディーラーによる社債価格決定メカニズムという一つのチャネルを通して、社債価格形成過程における株式市場及び債券市場の流動性リスクの影響を明示的にモデリングする方法を研究した。前年度に構築した、株式市場の流動性リスクを明示的に考慮する株式価値モデルを用いて、社債発行体の信用力の評価方法を考案した。具体的には、総資産価値に占める負債の割合を表すレバレッジ比率のダイナミクスを決めるパラメータが株式市場の流動性リスクを適切に反映する場合とそうでない場合における社債発行体のデフォルト確率推定値の乖離を導出し、株式市場の流動性リスクが信用力評価に与える影響を数値化した。信用力を表す確率過程のパラメータの違いが信用リスク分析に与える影響とその違いを考慮することの重要性は、最終通過時刻に注目する令和6年度の雑誌論文1(研究発表欄)でも示されている。 更に、社債の売買注文自体がもたらす新しい情報と上記の信用力評価手法を基に、社債ディーラーが決める買い値と売り値の乖離をモデリングした。社債の売買注文は債券市場の流動性リスクと密接に関連しており、本研究では特に、買い値と売り値の乖離と国債市場流動性リスクとの関係を考慮した。これにより、株式市場及び債券市場両方の流動性リスクに関して社債ディーラーがもつ情報が社債価格に与える影響を明示的に考慮する社債価格モデルを考案した。本モデルは、社債利回りを決定する信用リスクと流動性リスクの相互関係を分析可能とし、社債利回りに基づく発行体の信用力評価方法の改善と流動性リスクのモニタリング方法の高度化へ貢献すると期待される。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和6年度に構築した社債価格モデルは、株式市場及び債券市場の流動性リスクが店頭市場の社債ディーラーの行動に与える影響を明示的に考慮する。本モデルは、流動性リスクと信用リスクが社債価格に与える影響の同時分析手法を提供し、モデルのパラメータは証券市場の流動性を表すデータに基づいて推定可能である。このように、令和7年度において、データに基づく計算負荷の小さいパラメータ推定方法及び、株式市場と債券市場の流動性リスクに対する補償に相当する社債利回りの部分の検出方法を研究する準備が整っていると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和7年度において、令和6年度に構築した社債価格モデルのパラメータ推定方法を研究する。具体的には、観測可能な証券市場データ及び財務諸表のみに基づく、計算負荷の小さい推定方法を確立する。この推定方法を用いて、株式市場及び債券市場の流動性リスクに起因する社債利回りの部分を検出する方法を考案する。市場データとの整合性が高い検出方法を定めるために、信用リスクを取引する目的で用いられる流動性の高い派生証券の市場データを用いて、考案した検出方法で特定される利回りの信用力関連部分と市場データの整合性を検証する。このように、株式市場および債券市場の流動性リスクが社債価格に与える影響を検出するとともに、流動性リスクの影響を受ける社債利回りを基にした既存の信用力評価方法の改善にも取り組む。
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| Causes of Carryover |
令和7年度の所属研究機関変更とそれに伴う利用可能なデータベースの変更を考慮し、今後のデータ分析において必要なデータベース使用料の準備を可能な範囲で行った。これにより生じた次年度使用額は、令和7年度のデータ分析に必要な企業データ及び証券市場データを取得するために使用する予定である。
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| Remarks |
研究者個人サイト https://www.kevkhishvili.com/
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