2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the GVC upgrading and SME's multi-partner network
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23K12524
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Research Institution | Aomori Chuo Gakuin University |
Principal Investigator |
姜 尚民 青森中央学院大学, 経営法学部, 講師 (60866177)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | グローバルバリューチェーン / サプライヤー / 国際化 / 戦略的行動 / 戦略的ネットワーク / インターナショナルアントレプレナー / 中小企業 / スタートアップ企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、グローバルバリューチェーン(以下ではGVC)における中小企業の戦略的マルチパートナーネットワークがアップグレーディングに及ぼす影響を検討すると同時に,リード企業との関係性から直面する様々な問題というアップグレーディング壁を克服する方法を探索することである。サプライヤーのアップグレーディングは一時的ではないため,長期間にわたって企業レベルのダイナミックスを解析する必要がある。したがって,本研究ではサプライヤーを横断的分析視点から観察し,インタビュー調査による定性研究を行う。 令和5年度については,文献研究とともに韓国の現地調査を実施した。インタビュー調査から発見された事実は次のようにまとめられる。第一に,GVCにおいて数十年間に形成されてきた協力体制が大きく変わったこと。第二に,GVCにおいて重要な役割を果たす中核企業(オーケストラ企業)およびサプライヤーがGVCから排除されたなかで、生き残ったサプライヤーが存在すること。第三に,サプライヤーのアップグレーディングには国際企業家精神が大きく影響を及ぼすことである。 以上のことから令和6年度はGVCの韓国およびベトナムにおけるサプライヤーの現地調査を実施し,中小企業の戦略的ネットワークおよび国際企業家精神がアップグレーディングと国際化の壁の克服にどのような影響を及ぼすかを検討する。その結果,中小企業の企業家または管理層が国際化プロセスを追及するために,競争優位をもたらす戦略的行動の重要性に対する実践的示唆を提示する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の研究は,GVC(グローバルバリューチェーン)における供給業者のアップグレードに焦点を当てている。このアップグレードは,企業間の関係を通じて新たな付加価値を生み出すことによって実現可能になる。さらに,このアップグレードは一過性ではなく,長期的な企業レベルのダイナミクスを分析する必要がある。したがって,令和5年に海外現地調査を通じ,GVCのダイナミクスが確認でき,ほとんどのサプライヤーがGVCから排除されたにも関わらず,生き残っているサプライヤーの発見ができた。また,すでに,企業にインタビュー調査の許可を得ていることから令和6年の研究計画の現地調査準備が順調に整えていると判断できる。 他方,先行研究からは、サプライヤーのアップグレードにはインターナショナルアントレプレナーシップが重要な影響を及ぼすことが示されている。戦略的ネットワークとインターナショナルアントレプレナーシップの相互作用を理解することは,重要な分析観点である。 しかしながら,韓国における現地調査が計画通りに進まず,実施できたのは1回のみであった。これに対処するため,令和6年度の現地調査に向けて十分な準備を行っている。具体的には,現地調査の協力者からの許可の取得や文献研究の実施が含まれている。また,現在の段階では,韓国およびベトナムのサプライヤーに関する現地調査の計画に大きな問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の韓国現地調査を通じて,グローバルバリューチェーンの購買者-供給業者(リード企業-サプライヤー関係)の関係においてサプライヤーの戦略的行動が発見できた。具体的に,令和6年度には,グローバルバリューチェーンでは中核的なオーケストラ企業をはじめ、同じ製品群を供給しているサプライヤーがグローバルバリューチェーンから排除され、生き残ったサプライヤーが存在していることである。現時点では,そのサプライヤーの管理層に8月インタビュー調査の協力を得ており,複数のインタビュー調査を実施する計画である。また,排除されたオーケストラ企業で従事していた開発部の従業員ともインタビュー調査を計画している。また,すでに,ベトナムの現地調査の協力者から許可を得ていることから,GVCにおける途上国のサプライヤーのアップグレーディングを検討することを通じ,先進国との比較分析ができることを期待している。
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Causes of Carryover |
令和5年度には,主に文献研究とともに2回の海外現地調査を計画していた。しかしながら,家族の入院によって介抱が必要となり,令和5年の海外現地調査は1回に留まっていた。それに対して,令和6年の現地調査に必要な準備が進められた。令和6年度の韓国をはじめ,ベトナムを中心にGVCのサプライヤーの現地調査の協力を得る準備ができている。具体的には,ASICSのGVCにおいてサプライヤーとして韓国のBeesco株式会社(営業部,Yun理事)に8月のインタビュー調査の許可を得ており,そこからCEOのインタビュー調査を打診する計画である。また,ベトナムのサプライヤーとして多国籍企業であるSAMSUNGやLG,Panasonicなどに部品および素材を供給している中小企業に令和7年2月に現地調査を計画し,現地の協力者(紹介,通訳など)と詳細な計画を立てている。以上を踏まえ,令和5年度に生じた次年度使用額については,主に令和6年の韓国とベトナムの現地調査に必要な経費として使用する計画である。
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