2023 Fiscal Year Research-status Report
養育困難を支えるサポート・ネットワークと地域コミュニティの社会学的研究
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23K12629
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
益田 仁 中村学園大学, 教育学部, 講師 (20551360)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 養育・育児・子育て / 不登校 / 発達特性・発達障害 / 居場所 / 地域コミュニティ / 育児ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、養育上の困難を抱えた親子(家族)を対象とした調査を実施することで、①養育上の困難が生じる過程および解決を目指す過程において、個人のもつネットワークがどのように機能しているのか、②地域コミュニティとの結びつきにより困難がどのように増幅/縮減されるのか、③制度はネットワークのあり様にどういった影響を与えるのかを実証的に解明することである。 2023年度はまず文献研究として、地域コミュニティ構造、育児ネットワーク、家族・コミュニティ問題など本研究の基礎となる諸理論の検討を行い、既存研究で明らかとなっていることと、そうではないことの整理を行った。同時に、福岡市にある不登校や発達特性をもつ子どもの居場所におけるフィールドワークを継続的に実施し、また保護者や関係者(地域住民、学校SSW、CSW、場を提供している福祉施設職員等)へのインタビュー調査を実施した。それらにより、養育の困難化の過程、保護者の社会関係や地域とのつながり、制度利用の有無や内容等を把握することができた。さらに、事例とした場は地域において問題解決を図ろうとする動きから創出された場であり、本研究の問題関心にとって重要な論点であった。その論点にフォーカスする形で、研究成果の一部を学会にて報告し論文としてまとめた(益田仁、2024「学校からの排除と地域における包摂――子どもの居場所・ちゃちゃルームを事例として」『西日本社会学年報』22号、41-54頁)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた文献研究およびインタビュー調査を実施することができ、また、その知見を論文としてまとめることもできたため、おおむね順調に進展していると判断する。研究目的に照らして今年度明らかとなったことをまとめると「養育問題を複雑化/縮減する過程において、保護者が地域社会や専門機関ともつ関係性が一定の肯定的な役割をもつこと」「地域住民や専門職との関係性のあり様が、養育問題の発生/解決プロセスに影響を及ぼしていること」等が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度から研究者代表の身分変更があり、それが研究の推進にどのような影響を及ぼすのか読み切れない面があるものの、「養育問題を複雑化/縮減する地域コミュニティと家族(個人)の関係性を明らかにする」という研究の最終ゴールに向けて、今後は異なる地域での調査を着実に進めつつ、研究成果をまとめる作業を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは主に以下の2点の理由からである。 ①調査経費として物品費や人件費・謝金等を計上していたが、今年度の調査に関しては想定よりも予算を必要としなかったため(次年度以降の調査費用に充てる) ②旅費を計上していたが、2023年度は学会等が比較的近い場で開催されたため(次年度以降の旅費に充てる)。
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Research Products
(3 results)