2023 Fiscal Year Research-status Report
寄り添う視点はどこからくるのかー非行当事者と非当事者の間を探る
Project/Area Number |
23K12634
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Research Institution | Nippon Institute for Research Advancement |
Principal Investigator |
宇田川 淑恵 公益財団法人NIRA総合研究開発機構, 研究調査部, 研究員 (90886912)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 共事者 / 支援者 / 少年非行 / 立ち直り / 意識変容 / まなざし / 世論 / 当事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一に共事者の社会的意義を考察すること、そして第二に、支援者・共事者になる際の意識変容を調査することである。質的調査(参与観察およびインタビュー)と量的調査(アンケート)の手法を用いて、元非行当事者と支援者・共事者にインタビューを行い、元非行当事者による講演の参加者に対してアンケートの実施を計画した。 2023年度は、元当事者が講演を行う際に、参加者の意識変容を講演前後のアンケート調査で確認する計画だったが、急きょ登壇者の都合で講演自体がキャンセルになるなど、予定通りには進まなかった。しかし、実務者と共同で行った大学でのリレー講義への感想を通じて、どのような点が意識変容のきっかけになるのか手がかりをえられた。また、量的調査が進められなかった代わりに、文献調査とこれまでの聞き取り調査で得られたデータの整理・分析を行った。現段階で得られた結果を意識変容の観点から整理し、国際ジャーナル投稿に向け、論文にまとめている。 海外の研究動向を探るため、2023年のアメリカ犯罪学会年次大会に参加し、関連プロジェクトの研究報告を行った。海外では研究対象として「支援者」や「共事者」に焦点がまだ当てられていないことを確認したが、この点については、日本と海外の社会的・文化的背景の違いを考慮し、日本における共事者の社会的意義について世論研究も踏まえ研究を進めていく。 また、質的調査の予備調査として、調査対象となる施設・団体の新規開拓を進め、東京都、千葉県、福岡県、島根県での研究会参加や施設訪問など、状況把握に努めるとともに調査協力依頼を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績にも記載の通りだが、当初予定していた調査が実施できなかったものの、その代わりとなる文献調査や分析・研究を進めることができた。2024年度に向けた調査の土台構築も進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、量的調査・質的調査を実施し、共事者の意識変容について、社会心理学の「接触仮説」の理論を参考に掘り下げた分析を行う予定である。また、本研究に関連した研究報告をアメリカ犯罪学会でも行い、海外の研究者との連携可能性も視野に入れていく。
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Causes of Carryover |
主な理由としては、量的調査で使用する予定だった出張旅費などが、講演のキャンセルを受けて取り止めとなったため。次年度は調査を実施する予定であるため、出張旅費として適切な執行に努めるほか、必要に応じて文献等の購入費や物品等での適切な使用を計画する。
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Research Products
(2 results)