2023 Fiscal Year Research-status Report
法的根拠を持つ以前の母子寮における設立の契機と支援内容に関する研究
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23K12652
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
堺 恵 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (00801862)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 母子生活支援施設 / 母子寮 / 設立 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、母子保護法や軍事扶助法(1937年制定)、旧生活保護法(1946年制定)、児童福祉法(1947年制定)といった法律による根拠を獲得する以前に設立された母子寮(現・母子生活支援施設)に着目し、設立の経緯とそこでの支援内容を明らかにすることである。分析の対象とする母子寮は、泉尾節婦館(大阪)、秋田婦人ホーム(秋田)、神戸婦人同情会母の家の3施設である。それぞれに関する資料の収集、精読を通して、現在判っていることは、以下の5点である。1.泉尾節婦館においては、田中藤太郎が地域での保育事業を通して母子家庭の問題を発見し、母子寮の設立に至ったこと。2.秋田婦人ホームにおいては、早川かいが廃娼運動への関わりを通して婦人問題及び母子家庭の問題を発見し、母子寮の設立に至ったこと。3.神戸婦人同情会母の家においては、城ノブが困りごとを抱えた女性のための事業を開始し、そのなかで母子家庭問題を発見し、事業の一部として母子寮の設立に至ったこと。4.秋田婦人ホームと神戸婦人同情会母の家においては、母子家庭の問題に取り組むなかで、保育の必要性を感じ、子どもの保育を行っているということ。5.秋田婦人ホームの早川かいと神戸婦人同情会母の家の城ノブは、共に婦人矯風会の会員であることから、交流していた可能性があること。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に沿った資料の収集の分析は順調に進んでいる。しかし、研究成果を学会での報告や論文の執筆といった形で公表できていない点が、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、資料の収集と分析につとめるとともに、学会での報告や論文の執筆を通して、研究成果を公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初は他府県での公立図書館での文献収集を数回行う予定であったが、学内の図書館の利用によって他県での文献収集が1回で済み、次年度使用額が生じた。次年度に複数回他府県での資料の収集及び学会報告のための旅費として使用する計画である。
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