2023 Fiscal Year Research-status Report
学習者の個人特性に応じた理科学習の意義認識の育成に関する研究
Project/Area Number |
23K12791
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岡部 舞 (西内舞) 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60971059)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 理科学習の意義 / 理科における有用性 / 動機づけ / 学習意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学習者の個人特性に応じた理科学習の意義の育成を促す学習指導法を考案することである。このため,まずは,学習者の個人特性による個人的価値の認識や社会的価値の認識の仕方に着目し、理科学習の意義認識と動機づけの関係に及ぼす影響を解明することを目指した。中でも1年目は特に,学習者が認識している「理科における有用性」とは何かについて着目し研究を進めた。まず理科教育においてこれまで曖昧に捉えられて「理科における有用性」について概念的な整理を行い,学習者が認識している「理科における有用性」とは何かについて,その実態調査を行った。 「理科における有用性」に関する概念的な整理は,理科教育にこれまで扱われてきた有用性に関する調査及び実証研究のレビューを行った。実態調査については,先ほどのレビューをもとに,質問紙を考案した。小案した質問紙は,役に立つと思うかとった実用性と重要だと思うかといった重要性の文脈からそれぞれ同じ項目に対して問うようになっており,日常生活に対する項目群,科学的能力に対する項目群,科学全般に対する項目群から構成されている。そして,中学生を対象に質問紙調査を行った。その結果,学習者は,実用性と重要性の視点で理科における有用性を区別して捉えているとは言えないことが明らかになった。また,実用性と重要性のどちらにおいても,日常生活に対する項目群よりも科学的能力に対する項目群を高く評価する傾向にあることが明らかになった。今後はこれらの結果を受けた継続研究を行い,成果をまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である学習者の個人特性に応じた理科学習の意義の育成を促す学習指導法の考案に向けて,1年目は学習者の個人特性による個人的価値の認識や社会的価値の認識の仕方に着目し、理科学習の意義認識と動機づけの関係に及ぼす影響を解明することを目指した。中でも,学習者が認識している「理科における有用性」とは何かについて着目し研究を進めた。そして,中学生を対象に質問紙調査を行い,学習者は,実用性と重要性の視点で理科における有用性を区別して捉えているとは言えないことが明らかになった。この成果を現在,論文としてまとめている。また,学習者の個人特性に応じた理科学習の意義の育成を促す学習指導法の考案及び実践に向けて,学校現場の研究協力者と質問紙調査や学習指導法モデルの実践の打ち合わせを進めている。以上のことから,当初予定されていた進捗通りに研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
学習者の個人特性に応じた理科学習の意義の育成を促す学習指導法の考案及び実践に向けて,学校現場の研究協力者と質問紙調査や学習指導法モデルの実践の打ち合わせを進めている。このため,まずは,理科における有用性を実用性と重要性の視点で捉えられるような指導法を実践する。そして,引き続き実態調査を行い,学習者が理科を学ぶ意義を教育者から教授されるだけでなく、学習者自身が意義を見いだせるような力を身に付けるために何が必要なのか明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
システムの維持経費として使用する予定である。
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