2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症特性のある子どもの中学校の移行の成否とその要因の解明
Project/Area Number |
23K12818
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
森 裕幸 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 助教 (60848307)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 発達障害 / 移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校から中学校への移行は、子どもたちにとって大きな転機である。自閉スペクトラム 症(Autism Spectrum Disorder: ASD)特性が高い特別な支援を必要とする子どもは、その移行がより困難になりやすいと指摘されてきた。しかしながら、ASD 特性と中学校への移行に関する研究では ASD 特性以外の個人因子(実行機能や注意欠如多動症特性)や社会的環境因子(ソーシャル・キャピタル)が考慮されていないため、本研究は学校の適応と関連することが示されている個人因子や社会的環境因子を考慮し、ASD 特性と中学校への移行の関連及び移行の成功に関わる要因を明らかにすることを目的とする。 ASD特性の高い児童生徒はいじめ被害のリスクが高く、いじめ被害経験は抑うつの悪化を予測することが報告されている。また、社会性に困難感を持つASD児は社会交流がより複雑化する中学生において、これまでいじめ被害がなかったとしても、いじめ被害を経験するリスクが高いことから、いじめ被害経験を含めてASD特性と中学校への移行の関連を検討した。移行の成否の指標を学業や友人関係を含むQuality of Life(QoL)とした。その結果、高いASD特性といじめ被害経験は低いQoLと関連し、小学校から中学校への移行は高いQoLと関連があることがわかった。一方で要因間の交互作用が認められなかったことから、ASD特性の高さやいじめの被害経験が移行後のQoLを必ずしも低下あるいは悪化させるわけでないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、その他の発達障害特性を考慮した上で、ASD特性と中学校への移行の関連を検討し、その成果を論文化することを目標としていたが、適切な統計解析法の選定に時間を要しているため、論文化には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
心理統計の専門家と打ち合わせを重ね、適切な統計解析法を選択し、早期の論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
論文の執筆活動が予定以上に遅れてしまったため、オープンジャーナル誌への論文投稿が叶わなかった。現在執筆中の論文2編をオープンジャーナルへ投稿し、 本研究成果を広く活用できるようにする。
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