2023 Fiscal Year Research-status Report
量子アファイン代数の表現論を用いた組合せ論的諸問題の解決
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23K12953
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
渡邊 悠太 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (10824964)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アソシエーションスキーム / Terwilliger代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者のこれまでの研究で、有限射影幾何の量子アファイン代数の表現論を用いた研究手法を新たに提案し、Grassmann多様体の良い部分構造であるSchubert胞体を、組合せ論で有用なアソシエーションスキームの枠組みで特徴付けるなどの結果を得ている。この証明の核心的な部分を、Grassmann多様体よりもさらに抽象的な枠組みである旗多様体のレベルに拡張しようとする議論を行っている。この特徴付けにおいて登場した「アソシエーションスキームの一般化リース積」と呼ばれるアソシエーションスキームのクラスについてTerwilliger代数の構造決定を行った。Grassmann多様体のSchubert胞体の代数構造には一般化リース積の一部しか出てこないことに加えて、大部分のSchubert胞体では一般化リース積として捉えることができないことがわかっている。当初はGrassmann多様体のSchubert胞体の代数構造として現れるもののみについて証明を試みていたが、すべての一般化リース積についてTerwilliger代数の決定もできる見込みが立ったので、それについて研究を進めた。結果的にTerwilliger代数の構造は原始冪等基底とその双対基底を用いて完全に決定されることが分かった。この結果は10th Slovenian conference on graph theory(2023/6, Slovenia)にて発表し、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アソシエーションスキームの一般化リース積のTerwilliger代数の構造は完全に決定することができた。論文は執筆中であるが、次年度中に投稿まで持っていける予定である。一方で、一般的な旗多様体への拡張する道筋は立っておらず、次年度も引き続き模索していく。
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Strategy for Future Research Activity |
Grassmann schemeをはじめとして、Hamming schemeなどのアソシエーションスキームのTerwilliger代数にはリー代数sl2の構造が含まれている。この点に着目し、一般化として、slnの構造が登場するアソシエーションスキームのクラスを考えていく。具体的にはordered Hamming schemeにはslnの構造が入ることが予想されており、その決定を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に応じて購入予定の書籍のリストを一部変更したため、一部助成金が余ることとなった。その残金は次年度に請求する分と合わせて書籍購入代に当てたいと考えている。また当初の予定通り、研究集会への出張旅費などの支出も予定している。
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