2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K12967
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
櫻井 陽平 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90907958)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 優Ricci流 / 平均曲率流 / 重み付きRicci曲率 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は主に國川慶太氏(徳島大学)と共同で優Ricci流(Ricci流の優解)に関する研究を行った.最近Bamlerは高次元Ricci流の特異モデルを記述するという動機から,Ricci流に対する新たな収束理論を確立した.まず彼はRicci流をより広い観点から研究する枠組みとしてmetric flow,さらにその列に対するF収束という概念を導入した.そして優Ricci流の列に対するプレコンパクト性定理を示し,非崩壊Ricci流の列のF極限空間の正則性を明らかにした.これはRicci極限空間(Ricci曲率が下に有界なRiemann多様体の列のGromov-Hausdorff極限空間)の構造理論の時間依存版,ならびに平均曲率流(Brakke流)に対する収束理論の内在版としての側面を持っている.我々はRicci流に限らず,より一般の優Ricci流の列のF極限空間の正則性を明らかにすることを目標とした.Bamlerによる正則性理論では,Nashエントロピーと呼ばれる単調量に関する概剛性が鍵となる.我々は彼の概剛性を優Ricci流でありかつMullerにより導入されたとある量が非負であるものに対して拡張した.この対象は我々の先行研究で既に扱っていたものであり,調和写像流との混合流やLorentz多様体内の平均曲率流などを例として含んでいる.これらの成果を論文に纏め,一旦arXivに公開した.その後,筑波大学でこの話題に関する集中講義を行ったが,準備段階で多くの知見を得ることが出来た.現在はそれを反映させる形で論文を修正中である. 他にも國川氏と共同で余次元の高いself shrinker(平均曲率流の自己相似解の一種)に対するMorse指数評価や藤谷恭明(大阪大学)と共同で重み付きRicci曲率で次元パラメーターが0のものに関する研究を行った.これらも論文を準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幾何解析の様々な話題について,それぞれ一定の研究結果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは当該年度に得られた研究成果を論文に纏め,査読付き学術誌に投稿することが目標である. 我々は以前Ricci流の古代解に沿う熱方程式の解に対してLiouville定理を得ていたが,それをColding-Minicozzi型のLiouville性質にまで拡張できるかは懸案事項であった.Bamlerによる最近の進展を学んだことにより,この問題にアプローチ出来る可能性が出てきておりそれを検証する.またBamlerの理論についても引き続き理解を深めつつ,適当な問題を立てて解決していく.
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