2023 Fiscal Year Research-status Report
調和関数論を用いた平均曲率零曲面および関連する曲面論の研究
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23K12979
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
赤嶺 新太郎 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50825148)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 時間的極小曲面 / ローレンツ調和関数 / 等長類 / 反等長類 / 対称性 / ローレンツ・ミンコフスキー空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
調和関数論を用いた平均曲率零曲面および関連する曲面論の研究の一環として,本年度は主に平坦な時空内の時間的平均曲率零曲面(時間的極小曲面)に関する研究を行ったほか,研究集会で積極的に講演を行った. 本年度は時間的極小曲面と呼ばれる不定値計量を持つ平均曲率零曲面の等長類,反等長類や対称性の研究を行い,従来のユークリッド空間内の極小曲面と比較して等長類に対する剛性の現れ方が異なることを解明した.とくにローレンツ・ミンコフスキー時空内の時間的極小曲面の組で,互いに等長だが,一方が他方の同伴族と呼ばれる曲面族のどの要素とも合同にはならないものを見出したほか,臍点や擬臍点を除外した状況では等長類や反等長類に対する剛性が従来通り成り立つことを明らかにした. これは極小曲面論におけるSchwarzの剛性定理が,ローレンツ計量を持つ曲面の場合においては,臍点や擬臍点といった特殊な点を除外する必要があることを示している. また,等長変換に関連する結果として,対称性の保存則についても考察した.具体的には,ユークリッド空間内の極小曲面の向きを保つ等長変形については対称性を記述する空間群が保存されるといったMeeksによる結果が知られているが,それを時間的極小曲面の等長変形や反等長変形に対して考察した. それらの結果を論文「Isometric and anti-isometric classes of timelike minimal surfaces in Lorentz-Minkowski space」として取りまとめて投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に予定していた複素数値の調和関数に関する一部の共同研究が今年度は行えない状況であったため,少し方針を転換し,かねてより行っていたローレンツ誘導計量を持つ極小曲面と関連するローレンツ調和関数に関する研究をまずは推進することにした. 論文の執筆や投稿,講演等を行ってはいるものの予定の変更があったため,進捗状況を「やや遅れている」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,時間的極小曲面および関連したローレンツ調和関数の研究を進める予定である. 当初の目的であった調和関数の性質に関連した平均曲率零曲面の変形で保存される性質について,リーマン計量を持った場合のこれまでの研究成果を踏まえつつ研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により出張予定等に変更や中止があったことから本研究課題に次年度使用額が生じることとなった.次年度の使用計画としては,おもに令和5年度に行えなかった出張による旅費に充てることを予定している.
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