2023 Fiscal Year Research-status Report
4階分散項を持つ非線形分散型方程式に対する凝集コンパクト性による解析
Project/Area Number |
23K13003
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
駒田 洸一 中京大学, 工学部, 特任助教 (20967426)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 非線形分散型方程式 / 4階シュレディンガー方程式 / 解の時間挙動の分類 / 凝集コンパクト性 / プロファイル分解 / 偶対称性 / 群対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では, 4階の分散項を持つ非線形シュレディンガー方程式 (4NLS) に対して, 基底状態の下での解の時間挙動の分類について研究を行なった. 先行研究では空間2次元以上での4NLSの球対称解に対して時間挙動の分類が得られている. 通常の非線形シュレディンガー方程式 (NLS) に対しては, 方程式のガリレイ不変性を用いることで球対称性の制限なしに解の時間挙動の分類が得られているが, 4NLSではガリレイ不変性がないため球対称性の条件を取り除くことが難しくなっている. 本研究では球対称性よりも弱い対称性を持つ解として, (i)1次元での偶対称な解, (ii)多次元での群対称な解, (iii)運動量が0の解, に対する時間挙動の分類の研究を行なった. 非線形分散型方程式に対する解の時間挙動の分類では, 解が散乱するかしないかのエネルギーの閾値を得ることに問題が帰着される. 2023年度の研究結果としては, (i)や(ii)に対する閾値がある仮定を満たす場合では, その閾値が基底状態以上となることを証明した (眞崎聡氏との共同研究). 証明では偶関数や群対称な関数に対するプロファイル分解も整備した. これらの得られた結果については論文にまとめ投稿中である. (iii)については, 背理法のターゲットである運動量が0の最小爆発解が存在しないことは証明することができたが, 運動量が0の最小爆発解を構成することができていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究では, 4階非線形シュレディンガー方程式に対する解の時間挙動の分類において, 球対称性の条件を緩和することを目的に研究を行なった. 分類理論におけるエネルギーの閾値が基底状態以上となることの証明を試みたが, 証明の鍵となる最小爆発解の構成が上手く出来ず, 結果として閾値に関する追加の仮定が必要となった. この仮定を取り除くことを考えたが, 現状ではまだ出来ていない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 非線形4階シュレディンガー方程式に対する解の時間挙動の分類において球対称性の制限を緩和する研究を引き続き行うとともに, 2023年度の研究では扱っていなかった非線形項がエネルギー臨界や質量臨界の場合についても研究を行う. 4階シュレディンガー方程式では, 非線形項が解の時間挙動の分類が比較的簡単である斥力的な場合でも未解決な部分がある. そこで, これらの未解決部分の問題点を整理して解決方法について検討する.
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Causes of Carryover |
申請者の体調不良のため出張のキャンセルを行なったため, 出張旅費について予定通りに使用することができなかった. 次年度では研究に必要な出張旅費や書籍購入に使用する予定である.
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