2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K13004
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平良 晃一 立命館大学, 理工学部, 助教 (70906982)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | スペクトル理論 / シュレディンガー方程式 / 自己共役性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度得られた研究結果,及び進行中の研究は以下の通りである: (1)以前の研究で調べていた,本質的自己共役でないような円周上の擬微分作用素を考え,その自己共役拡大のスペクトルの構造について調べている.ここで用いた手法は所謂Maslov理論と呼ばれており,固有値の存在がBohr-Sommerfeld型の条件で特徴づけられる,というものである.しかし,(高いエネルギーに関する)固有関数の挙動が通常のMaslov理論と比べて特異性の高いものとなっており,それを扱うための手法を考案した.この手法はかなり汎用性のあるもので,無限遠方での増大が大きいポテンシャルを持つ高階シュレディンガー作用素など,様々なタイプの作用素のスペクトルの研究に応用できると考えている. (2) 以前の研究で,コンパクトな2次元Lorentz多様体上の波動作用素であって((1)の研究と関連した)本質的自己共役でないものを構成していた.現在はその自己共役拡大の幾何学的な特徴づけについて考察している.近年のBeschastnyi-QuanによるGrushin多様体上のLaplacianに関する結果を見つつ証明の方針を立てている. (3)無限遠点での減衰が超臨界かつ反発型のポテンシャルを持つ広いクラスの一般化シュレディンガー作用素を考え,時間発展作用素が適当な意味で急減少することを示した.通常のシュレディンガー作用素の場合には中村(Commun. Math. Phys.'94)によって証明されており,その証明にはAgmon型の評価が非常に重要な役割を果たしていた.しかし,一般化シュレディンガー作用素に対してはAgmon評価自体は成り立たないと考えられるため,本研究では(時間発展の減衰評価を証明するのに十分な)弱い意味でのAgmon評価を証明した.その副産物として,対応するRiesz作用素が擬微分作用素になることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は非楕円型作用素のスペクトル理論について考察し,一定の成果を得た.また,そこで用いられた手法(の一部)は本研究の主眼である自己共役性の判定にも有用であると考えている.更に,(3)については本研究課題とは無関係そうに見えるが,そこで用いた手法は半古典/超局所解析である.そのため(3)で培った技術が非楕円型作用素のスペクトルの解析にも役立つと考えている.総合して,研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
日本に似たような研究をしている研究者はいないので,自分の結果や手法の宣伝をしていきたいと考えている.また,海外にも赴き研究者達と交流して近い分野の人や少し自分とは違う分野の人と交流して新しいアイデアを考案する.
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Causes of Carryover |
予定していた海外出張の経費が先方負担になったため.その分は次年度の研究会参加のための経費として使用する予定である.
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