2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of numerical methods for simulating quantum dynamics towards the control of quantum computers
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23K13042
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
後藤 慎平 東京医科歯科大学, 教養部, プロジェクト助教 (90754739)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子コンピュテーション / 数値シミュレーション / 行列積状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に線形分散をもつボソン自由度の実空間におけるモデル化とその数値シミュレートの方法を確立するための研究を行なった。
電信方程式を量子化して得られる連成調和振動子系を実空間モデルの候補とし、様々な解析のスタート地点となる真空状態の行列積状態を得る方法を確立することに成功した。得られたモデルの真空は実空間ではエンタングルしているためにその行列積表現を得るのは容易ではないし、ボソン系の自由度は無限であるために無限自由度をどこまで取り入れるかという問題も現れる。研究の結果、ボソン自由度の数は高エネルギー状態への影響は小さいが、低エネルギー状態に対する影響が大きいことがわかった。また考慮するボソン自由度の数が多いほど得られる真空は励起の数が少ない質の良いものが得られることも確認できた。考慮するボソン自由度の数が多くなるため、行列積状態を取り扱う際には single-site コストのアルゴリズムを用いる必要があることもわかった。これは近年開発された局所 Hamiltonian が作用した状態から行列積状態に含まれていない線型空間を優先的に選択して空間の拡張を行う手法を採用することで満足いく結果が得られることを確認した。
以上の知見をもとに実際にボソン自由度を20自由度程度まで考慮した真空状態を得ることに成功し、また量子ビットを一つ接続した際の量子ダイナミクスを数値シミュレートすることにも成功した。これらの成果は日本物理学会2024年春季大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった初年度でのボソン自由度の実空間でのモデル化とそのシミュレート手法の確立はおおむね達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ボソン自由度の実空間モデル化はできたため、次の目標である2量子ビットが接続した場合の量子ダイナミクスのシミュレートを行う予定である。また有限サイズ効果を低減させるための方策も考慮する予定である。これについては実際に超伝導回路で採用されている終端抵抗と同様に、散逸を系に導入することで実現することを考えている。
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Causes of Carryover |
計算機の選定の際に想定額とわずかな価格差が生じた。未使用額については次年度に文房具が必要になった際にでも使用する予定である。
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