2023 Fiscal Year Research-status Report
フラストレートした強相関電子系におけるトポロジカル相に関する理論研究
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23K13055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井戸 康太 東京大学, 物性研究所, 助教 (50827251)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多体トポロジカル相 / 近藤格子模型 / 変分モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では、三角格子上の1/4フィリングにおけるスピン1/2での近藤格子模型の基底状態を調べた。基底状態を求める際に、大きなシステムサイズの二次元量子多体系を柔軟に取り扱うことのできる変分モンテカルロ法を用いた。解析した結果、古典極限で実現すると指摘されていた非共面な磁気秩序構造を持つ絶縁体がスピン1/2の反強磁性近藤結合の場合においても安定化することを明らかにした。この状態のトポロジカルな性質を調べるために、変分モンテカルロ法を用いて、多体Chern数を分極理論に基づいて測定した。その結果、非共面な磁気秩序構造を持つ基底状態が非自明な多体Chern数をもつ磁性トポロジカル絶縁体であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、古典極限での近藤格子模型を対象とした先行研究で指摘されていた磁性トポロジカル絶縁体が、スピン1/2の反強磁性近藤格子模型においても発現することを明らかにできたため、「おおむね順調に進展している。」とした。なお、本研究成果は論文としてまとめており、現在は投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、伝導層にオンサイトクーロン相互作用を加えたKondo-Hubbard模型を解析し、多体相関がトポロジカル相にどのような影響を与えるのかを精査する。
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Causes of Carryover |
当初購入する予定であった計算機よりも安価なものを購入することになったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度開催される国内外の研究会参加のための旅費として利用する予定である。
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