2023 Fiscal Year Research-status Report
Simons Observatory 低周波数望遠鏡に向けた検出器の性能評価
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23K13117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 敦人 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (60962397)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)のBモード測定とインフレーション理論の検証を目的とし、CMB観測実験Simons Observatoryの4台目小口径望遠鏡の開発を進めている。特に、50 GHz程度のカットオフを持つメタルメッシュローパスフィルターを開発し、そのフィルターを用いて数十GHzに帯域を持つマイクロ波検出器の性能を評価することに焦点を当てている。 今年度はシミュレーションをベースにしたローパスフィルター開発を進めた。有限要素シミュレーションツールCOMSOLを用いてメタルメッシュのパラメータを最適化し、"カットオフ周波数がおよそ50 GHz, 帯域内での透過率が~50%以下"という要請を満たすメッシュ条件を導き出した。導出したメッシュパターンをDuroid基板に刻印することでローパスフィルター実機を複数種類作製した。さらに、vector network analyzerを用いた測定系を用意して、作製したフィルターの透過率を測定しCOMSOLシミュレーションの結果とフィルター実機の透過率が一致していることが確認できた。以上により、duroid基板を用いたフィルターの作製手法を確立したと言える。 並行して、フィルターの透過率測定のために築いた測定系を流用することで、4台目小口径望遠鏡に搭載する可能性のある反射防止膜や黒体吸収体の反射率・透過率測定も行った。それぞれの測定結果から、4台目望遠鏡が観測する周波数帯において、反射防止膜や黒体吸収体が要請を満たしていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションにより、カットオフ・透過率の両観点から要求を満たすパラメータ条件を複数見出し、実機の作製に取り付けた。さらに実機において期待通りのパフォーマンスを確認できた。 加えて、フィルター開発のために構築した測定系をそのほかの測定にも応用している。 以上を踏まえて概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したフィルターを用いてマイクロ波検出器の性能評価を行う。 検出器は米国で開発が進められているため、検出器が完成し日本へ輸送され次第評価を行う。検出器開発が遅れる可能性があるが、研究室で所有している希釈冷凍機内にフィルターや検出器を設置できるようセットアップを整えておくことでできる限り遅れを相殺する。評価項目としては、検出器のノイズレベル、光学効率、検出器間の光子相関などを考えている。 並行して、反射防止フィルターや黒体素材の反射率・透過率測定を継続する。
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Causes of Carryover |
フィルター製作が順調に進んでおり、材料の購入や測定のための出張が想定よりも少ない回数で済んだこと、評価対象である検出器が届いておらず性能評価のプロセスが始まっていないことなどが理由で次年度使用額が生じた。 翌年度分は、米国で開発が進められている検出器作製の補助を行うために米国への出張に用いる計画である。
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