2023 Fiscal Year Research-status Report
精密X線観測で迫る超新星内部でのニュートリノ相互作用
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23K13128
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐藤 寿紀 明治大学, 理工学部, 専任講師 (60825975)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 超新星 / ニュートリノ / X線宇宙観測 / 観測装置開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超新星残骸観測を用いた「ニュートリノ相互作用」の観測的検証と将来の観測に向けた装置開発を行う。超新星残骸では、超新星爆発時に合成された元素が高階電離した高温プラズマからのX線を観測できる。「ニュートリノ元素合成」で増加する元素は、ニュートリノ相互作用の検証に有用であり、その観測可能性を過去の我々の研究で示した。XRISM 衛星を用いた精密X線観測で、そのニュートリノ元素合成に関わる微小元素を観測し、超新星爆発時のニュートリノ相互作用の検証を行う。また、将来のより高精度観測を目指したX線望遠鏡開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、まず「XRISM衛星を用いた超新星残骸観測」が必要となる。XRISM 衛星は、初年度の研究期間に打ち上げ成功し、複数の超新星残骸の観測が既に行われている。そして、現在解析チームによる解析が行われており、本研究課題遂行のために必要な条件は整ったと言える。望遠鏡開発研究においては、初年度の研究開始時点から、研究代表者の所属が明治大学に移ったことにより、新たな開発環境の確立を目指した。次年度から、開発に着手する予定で、当初の研究計画から比べても順調に開発環境が整えられていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた XRISM 衛星による観測データ解析に注力する。特に、超新星残骸 Cassiopeia A の観測データの中でも、ニュートリノ元素合成に絡む鉄族元素に着目した研究を進め、研究をまとめる。これらは試験観測データであるため、軌道上における較正試験と並行して行われている。軌道上での観測機器の性能評価に関しても、検出器チームの一員として進め、サイエンスと開発の両面から成果を引き出すことを目標とする。望遠鏡開発に関しては、現在、明治大学において新規の反射鏡アライメントシステムの構築を目指している。日本の望遠鏡技術になかった精密アライメント技術を成熟させ、将来的には高角度分解能X線望遠鏡で、精密分光できる技術に繋げる。
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Causes of Carryover |
計画当初、2024年度の異動を考えていなかったが、立教大学から明治大学への所属変更となったことによって、研究室立ち上げ等の業務で一部の開発を次年度以降に行うことにした。2025年度以降、開発が開始するため、その際の材料費や装置の購入に次年度使用額は用いられる予定である。
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