2023 Fiscal Year Research-status Report
二重魔法数132Sn核の電荷密度分布測定に向けた大強度ビーム用MRTOF同重体分離器の開発
Project/Area Number |
23K13129
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
飯村 俊 立教大学, 理学部, 助教 (60963014)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 同重体分離 / 単一核種分離法 / イオントラップ / MRTOF質量分光器 / 電子散乱法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究実績は、二重魔法数132Sn核の電荷密度分布を精密に測定するために開発するMRTOF同重体分離装置(MRTOF-IS)の設計とシミュレーションに焦点を当てたものでした。この研究は、不安定核の理解を深めることを目的としており、原子核の魔法数という性質に新たな洞察を提供することを目指しています。 MRTOF-ISはイオンを冷却しエミッタンスを向上させるためのトラップ部と、イオンを飛行させて質量分析するための飛行管から成り立ちます。プロジェクトの初年度において、我々は装置の基本設計を確立するために主にトラップ部のシミュレーション等を実施しました。その際、大強度ビームをトラップできる電場設計に重点を置きました。 このプロセスを通じて、初期モデルが提案され、真空槽を製作し、真空部品や電源・RFアンプなどの必要部品を準備しました。 また、理化学研究所のSCRIT施設との連携を強化し、装置が施設のビームラインと互換性を保つように設計を調整しました。将来的にこの装置を実験に導入するための計画も策定され、研究の具体的なフェーズに移行しました。 初年度の研究実績は、大規模な実験に向けた重要な準備段階を形成しました。MRTOF同重体分離装置の概念実証を達成し、プロジェクトの成功に向けた確かな基盤を築きました。この成果は、次年度の研究活動の推進に対して重要な影響を与え、プロジェクト全体の進行に貢献するものです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究が順調に進展した主な理由は、明確な計画と強力なチームワークにあります。このプロジェクトでは、二重魔法数132Sn核の電荷密度分布を測定するという明確な科学的目標を設定しました。この目標に向けて、具体的なステップとスケジュールが初期段階で策定され、プロジェクトの進行が容易になりました。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、以下のステップで構成されます。 プロトタイプの開発とテスト: すでに行われたシミュレーションと初期の設計作業に基づき、MRTOF同重体分離装置のプロトタイプを製作し、実際の動作テストを行います。この段階では、装置の性能を最適化し、実際のビームラインに統合する前の調整を行うことが重要です。 データ収集と解析の強化: 実験から得られるデータの精度を高めるために、データ収集システムと解析ソフトウェアの改良を進めます。 研究を遂行する上での主な課題として、高強度ビームによる空間電荷の問題が挙げられます。この課題に対処するためには、ビームの強度と質量分解能のバランスを最適化する必要があります。これを解決するために、ビームの強度を調整しながら連続的なテストを行い、最適な運用条件を特定します。 これらの推進方策と課題対応により、本研究課題は効果的に進行し、目標達成に向けた確固たる基盤を築くことが期待されます。
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Causes of Carryover |
残額はわずかであり計画通りであるため、翌年度分として請求した助成金と合わせて執行する予定である。
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