2023 Fiscal Year Research-status Report
Decay spectroscopy of nuclei close to the r-process path by using a ultra-low background beta-ray detector
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23K13134
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
向井 もも 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (10823726)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 放射線検出器 / 比例計数管 / r過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、KEK元素選択型質量分離器KISS(KEK Isotope separation System)で生成・分離した稀少な中性子過剰核のベータ-ガンマ核分光を実施するために、極低バックグラウンドのベータ線検出器を開発する。検出器は2層のガス検出器からなり、各層はディレイラインアノードと電荷分割型のカソードで構成する。アノード信号は横方向、カソード信号は縦方向のベータ線飛跡検出に用い、3次元の飛跡の再構成を行うことで、不安定核の打ち込み位置から放出されたベータ線と、宇宙線によるバックグラウンドイベントとの区別を可能にする。2023度は、上記の案に基づいて、実際の検出器内外部の幾何的な制約を考慮したベータ線検出器の設計を行った。 本検出器と組み合わせて使用するゲルマニウム検出器の立体角を確保するために、限られた形状・大きさの二層構造を実現する必要がある。本研究では当初、一層約5mm厚・外径60m程度の円筒型の検出器を予定していた。しかしながら筐体や円筒型カソードの製作可能性を詳細に検討して形状を見直し、角柱型の検出器へと設計を変更した。電荷増幅のシミュレーションを行い、設計変更後の検出器で問題なく電荷収集ができることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検出器筐体の製作可能性を検討した結果、円筒型の検出器の実現が困難であることがわかった。また、材料費の高騰により、主に金属を用いる筐体の製作費が予定の費用を大幅に上回ることがわかった。これらの理由により、検出器の設計変更が必要となり遅れが生じた。しかし2023年度中に設計を完了できたため、2024年度に製作と試験を始められる。
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Strategy for Future Research Activity |
実現可能な形状を考慮して最適化した検出器の製作を行う。筐体の製造中に、カソードストリップ電極の作成に取り組み、蒸着手法を確立し抵抗電荷分割の確認を行う。検出器一層を組み立て、不安定核打ち込み位置に設置した90Sr線源を用いて性能評価を行う。試験結果に基づき、電極の配置・カソードストリップのピッチや読み出し回路の最適化を行う。最適化の完了後に二層目を組み立て、飛跡再構成性能やバックグラウンドイベントレートの評価を行う。
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Causes of Carryover |
当初、2023年度は主に検出器筐体の製作に予算を使用する予定だった。しかしながら、製作可能性の検討と材料費高騰により、大幅な設計の見直しが必要となり今年度中の発注ができず、差額が生じた。2024年度には筐体の製造・検出器製作・性能試験を進める。
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