2023 Fiscal Year Research-status Report
新アクチノイド同位体精密質量測定による中性子数152における閉殻性の検証
Project/Area Number |
23K13137
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
木村 創大 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究員 (10827348)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 新同位体探索 / アクチノイド / 質量測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規アクチノイド同位体の生成に多核子移行反応と呼ばれる反応系を用いる。この反応系はこれまでアクセスできなかった中性子過剰核を生成することができると考えられているが反応生成物の広い角度およびエネルギー分布から既存の施設のほとんどでは高効率な実験を行うことが困難であった。本研究ではヘリウムガスセルの入口直前に標的を置き、広い角度分布を持つ反応生成物を高効率で捕集する方法を採用した。この方法の問題点はヘリウムガスセルの直前まで高強度の一次ビームを通すため、多量の粒子がヘリウムガスセルに打ち込まれ、空間電荷効果のためにこれの効率を大きく下げる可能性があったことである。本年度はまずこの問題を確かめるため、キセノンビームと金属鉛標的を用いた予備実験を行なった。実験の結果、多核子移行反応生成物であるビスマス209の2価イオンの引き出しに成功し、その収量も理論計算を元にした予想値と無矛盾なものであった。またヘリウムガスセルの引き出し効率の一次ビーム強度依存性に関する測定も行い、目標であるビーム強度(1 pnA)まで効率の低下が起こっていないことを確認できた。これらの結果は本研究で提案した実験装置系が多核子移行反応に適用可能であることを示しており、本研究の目的である新規アクチノイド同位体探索への道筋を開くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行する上での最も大きな懸念事項は提案した実験装置系が多核子移行反応に適用できるかというものであった。本年度に行なった予備実験の結果はこの懸念を払拭するに十分なものであり、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の結果、提案している実験装置系に関して解決すべき課題がいくつか確認された。令和6年度前期はこらら課題の解決に向けた装置の改良およびその確認のため追加の予備実験を行う予定である。そこで問題がなければ後期、もしくは令和7年度前期には新規アクチノイド同位体探索を目的とした本実験を行いと考えている。
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Causes of Carryover |
標的システム、一次ビーム調整系の作成の際、既存装置の一部を再利用することができたため本来の予定額よりも少ない額で済んだことによる。
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