2023 Fiscal Year Research-status Report
Search for double-beta decay of Zirconium-94 with the next-generation radiation detector
Project/Area Number |
23K13138
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
亀井 雄斗 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 特別研究員 (90968330)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 超伝導共振器 / 二重ベータ崩壊 / KID |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は未発見の極稀事象(二重ベータ崩壊)を、新しい超伝導検出器を用いて観測することを目指している。まずは目的を達成するための超伝導共振器を用いた検出器(超伝導力学インダクタンス検出器[KID])を作製できるかどうかが重要な点であった。KIDに必要な基板部分に極稀事象のターゲット原子核を直接含有させることで観測対象と検出器とが一体となった検出器を念頭に置いているが、ターゲット原子核であるジルコニウム-94についてジルコニウムは金属であるため、そのままでは基板としては使用できない。そこで酸化ジルコニウムを検討し、利用可能な形で提供されるイットリア安定化ジルコニア[YSZ]を基板材料に選定して超伝導検出器の作製にあたった。超伝導金属材料にはニオブを用いた。作製を無事に行え、さらに希釈冷凍機により温度150mKで評価を行って超伝導共振器としての応答を確認することができた。共振ピークの鋭さを表す指標である共振Q値は100,000程度が得られた。さらに、YSZのイットリア含有率による違いも考慮し、容易に入手可能な9.5, 13, 20mol%含有の3種類のYSZ基板を用意して作製・評価を行った。いずれも応答が確認でき、YSZを用いた超伝導共振器の理解が深まった。以上の成果は国際会議(ポスター発表)2件、プロシーディングス1報(査読中)、国内会議5件(口頭発表3件、ポスター発表2件)で発表した。以上より今後に向けて、より良い共振特性を得るための設計変更や放射線検出実験などの課題を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イットリア安定化ジルコニア基板上にKIDを作製し、共振特性を確認することができた。通常基板にはシリコンやサファイアといった材質を用いるため、イットリア安定化ジルコニアの使用は例がなく、共振特性が確認できなければ他にジルコニウムを含有した素材を探すところから始めなければならなかった。計画通りに実験的に確認できたため、順調に次のステップへと移行することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの計画通りに進めていく。直近では次の課題が挙げられる。確認できた共振特性をより良いものに、具体的には高い共振Q値が得られるようにKIDのデザインを変更する。また、放射線を検出できるかを実験する。具体的には基板に放射線(α線やγ線)を照射し、フォノン伝搬によってKIDから信号が読み出せるかを検証する。
|
Causes of Carryover |
高額物品の購入を次年度へ持ち越したため。
|