2023 Fiscal Year Research-status Report
Re-assessment of the lunar seismicity
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23K13157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野寺 圭祐 東京大学, 地震研究所, 特別研究員 (00967036)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 月 / 地震 / 地質活動 / 惑星地震学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアポロ計画にて取得された月の地震データを再解析し、新しい月震の発見と月の地震活動度の再評価を大目的としている。アポロの月震観測では長周期計と短周期計の二種類の地震計が使用されたが、短周期計のデータは人工ノイズを多く含んでいたため、過去の研究ではほとんど用いられてこなかった。 しかしながら、本研究にて短周期月震計データのクリーニング処理を行い、月震イベントの自動検出を行ったところ、約22000もの新しい月震を検出することに成功した。これは既知の月震イベント数の約2倍に相当し、過去半世紀に渡って多くの月震が見過ごされていたことを意味する。 特に重要な発見として、新たに46個ものテクトニック活動由来の月震(浅発月震)を発見したことが挙げられる。浅発月震は全ての月震の中で最もエネルギーを放出していることが知られており、月の地震活動度・エネルギー放出率の見積もりに必要不可欠なイベントである。 今年度は当初の計画通り、イベントの検出並びに新しい月震イベントカタログを制作し、複数の国際学会にて成果報告を行った。加えて、2024年3月にアメリカ・ヒューストンで開催されたLunar Planetary Science Conferenceにて本成果に関するインタビューを受け、オンライン上に記事が掲載された。 本発見は月の地震活動度の評価や月震のメカニズムの解明、将来の月面での有人活動など様々な点で重要な示唆を与えることが期待されており、次年度以降の詳細解析にて月震という現象への理解を更に深めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り順調に進んでいる。 研究を進めていく過程でアポロ計画当時の月震観測に携わっていた研究者との繋がりもでき、次年度以降に実施する科学的検証や結果の解釈の効率化が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では本研究のゴールの一つである「月の地震活動度の再評価」を行い、国際学術誌への成果報告を行う。
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