2023 Fiscal Year Research-status Report
熱帯対流活動による熱圏の応答ーマッデン・ジュリアン振動に伴う大気重力波の変調
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23K13160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木暮 優 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(PD) (10846786)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大気重力波 / 中規模伝播性擾乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は対流活動により励起される大気波動のスペクトル・伝播特性を明らかにすることである。研究計画では赤道域の対流活動を研究する予定であったが、中緯度域の大雨を伴う寒冷前線内部の対流活動から大気重力波が励起される非常に興味深いイベントの解析を行なった。 我々は、全大気モデルであるSD-WACCM-XとSD-WACCM-Xの中性風と組成によって駆動されるSAMI3を用いて、昼間に移動する電離圏の擾乱(TIDs)を駆動する大気重力波の波源と垂直伝播のシミュレーション研究を行った。2020年10月20日の昼間に、北部中央部のアメリカ合衆国(90-100°W、35-45°N)を通過する寒冷前線は強い上向きの気流と共に移動していた。~500-700 kmの水平波長を持つGWsが、北中部のアメリカ合衆国上空の熱圏を南北に伝播した。また、地表面から熱圏までの擾乱は位相がつながっており、大気重力波はミネソタ州とサウスダコタ州上空の寒冷前線に関連した上昇気流によって励起した可能性が高い。前線で生成された大気重力波は、100 km以下ではエバネッセントモードであり、ほぼ無限の鉛直波長を持っていた。これは、大気重力波が地球大気中をエバネッセントモードで通過し、地球大気と宇宙空間の間でエバネッセントモードから自由モードへと変化したことを意味する。中規模のTIDs(MSTIDs)もGWsと共に南へ伝播し、これにより前線のGWsがMSTIDsを生成したことが示唆される。 別に、対流活動から励起した大気重力波の成層圏・熱圏(電離圏)の観測的研究も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、数値シミュレーションに関する研究論文は2回目の査読を受けており、令和6年度の前半には受理されると予想される。もう一方の観測研究に関しても、現在論文を執筆しており、令和6年度の前半には投稿予定である。 しかしながら、赤道域の対流に関する研究解析が遅れており、令和6年度に本格的に解析を行なっていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度前半は、論文2本を受理するために執筆を急ぐ予定である。一方で、赤道域の対流活動と大気波動に関する研究は、観測データの解析は一通り終わっているが数値シミュレーションの研究が進んでいないため、論文執筆と同時並行で進める予定である。
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[Presentation] Characteristics of gravity wave horizontal phase velocity spectra in the OH airglow layer over the Antarctic stations, Syowa and Davis2023
Author(s)
Masaru Kogure, Takuji Nakamura, Damian J. Murphy, Michael J. Taylor, Yucheng Zhao, Pierre Dominique Pautet, Masaki Tsutsumi, Yoshihiro Tomikawa, Mitsumu K. Ejiri, Takanori Nishiyama
Organizer
CEDAR
Int'l Joint Research
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