2023 Fiscal Year Research-status Report
多自由度システムを用いた切削加工支援による薄肉工作物の高精度加工
Project/Area Number |
23K13229
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田島 真吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70862308)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 産業用ロボット / 薄肉工作物 / 切削加工 / 軌跡生成 / 軌道制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,薄肉工作物の高精度切削加工に必要となる工作物の振動特性の最適化を目的とし,産業用ロボットによる切削加工支援システムを構築する.具体的には,(1)薄肉工作物を支持するエンドエフェクタの開発,(2)工作物の変形や振動を抑制する支持位置の選択,(3)加工機との同期制御のための速度プロファイルの生成を行い,薄肉工作物が有する振動特性の制御を実現する.本研究成果により,従来の工作機械のみでは実現不可能であった,複雑な自由曲面形状に対する高精度な薄肉切削加工を実現する. 初年度である本年度には,工作物支持時の産業用ロボットの姿勢による機体剛性の変化を考慮したロボット姿勢制御法の検討を行った.具体的には,ロボットと手先機構が有する運動学的冗長性に注目して,冗長関節と機体剛性の関係性を表すことで,工作物支持に重要となる高い機体剛性が実現できるロボット姿勢の選択法を提案した.また,FIRフィルタを用いた産業用ロボットの軌跡生成法を提案し,工作機械による切削加工を産業用ロボットにより支援するために必要であるロボットと加工機の同期制御の実現可能性について検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り工作物支持ロボットの最適な位置姿勢制御については示すことが出来た.加えて,次年度に実施する加工実験に向けて,ロボットと加工機の同期制御を実現する実験装置の設計が完了できた.一方で,本年度に実施予定であった,薄肉工作物のモード形状の変化及び振動への影響を明らかにし,エンドエフェクタ開発するという内容は完了せず次年度に繰り越した.しかしながら,次年度に予定していたフィルタリングによる速度生成法については検証を実施することが出来た.次年度は,薄肉工作物に関する特性評価の遅れを取り戻し,エンドエフェクタ開発および切削加工試験を実施することで当初の目標を達成できると考えている.以上を総合的に踏まえた上で,現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
工作物の振動状態を計測するとともに,支持位置の最適化を実現する.加えて,工作物を支持するエンドエフェクタを産業用ロボットに取り付けることで切削加工支援システムを構築し,提案する加工支援ロボットの有用性についてNC工作機械と同期させた加工実験による検証を行う.
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Causes of Carryover |
半導体不足の影響により,本年度に購入を検討していたロボット制御用コントローラと付随するソフトウェアの選定および導入計画に遅れが生じた.その対応策として,本年度は代替となるIPCにより研究を進めたため差額が生じた.この差額分については,次年度のコントローラおよびソフトウェアの導入へ充当する予定である.
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