2023 Fiscal Year Research-status Report
超短パルスレーザ照を用いた液体中非平衡硬質膜生成とそのトライボロジー特性の解明
Project/Area Number |
23K13232
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
劉 暁旭 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30837662)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 超短パルスレーザ照射 / 表面改質 / トライボロジー / 液体中レーザ照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では 超短パルスレーザは液体中照射により、局所的な高活性空間を作り出すこと機械加工に使用している加工油剤を炭素供給源とすることこの2つの特徴を利用して、金属加工面に硬質炭化物層を生成するような表面改質手法を提案します。すなわち、油中レーザ照射系において材料表面に高温高圧な状態を発生させることで、加熱された鉄鋼材料の表面と熱分解された炭素を含む有機溶媒の化学反応による材料表面の局所的な改質が可能となります。以上のことから、本研究の目的は機械加工の加工油などに含まれる炭化水素成分を積極的に活用し、金属表面に耐摩耗性や低摩擦性を付与する新しい表面改質技術の開発を目指す。 本年度では、当初の計画通り、トライボロジー性能向上に有効なレーザ照射条件を探索し、硬質膜(炭化物膜)の形成技術の確立を行った。中間発表での報告の通り、チタン合金を照射した結果、照射領域の硬さが大幅に向上、XRD分析から表面にチタン炭化物の生成を確認した。油中往復摩擦試験では、照射パルス数の増加に伴い耐摩耗性が向上した。また、照射部は未照射部の約1/2以下の安定化の低摩擦を示した。更にパターニング照射を実施することで、低摩擦維持できる距離がより延びることができ、 今回均一照射(N=32)の13倍のすべり距離に達成できた。鉄鋼材料(S45C)を照射した結果、TEMによる深さ方向分析から、表面に厚さ50~200nmのアモルファスな鉄炭化層の形成を確認した。油中往復摩擦試験では、照射フルエンスの増加に伴い、低摩擦維持できる距離がより延びることができた。さらに、無潤滑条件下でも安定な低摩擦が発現した。以上により、トライボロジー性能向上な硬質膜の形成技術を確立し、工作機械上での局所的表面改質手法として期待できます。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画は、油中超短パルスレーザ照射の光学系システムを開発し、トライボロジー性能向上に有効なレーザ照射条件を探索することで、最終的に硬質膜(炭化物膜)の形成技術の確立を行う。研究実績の概要および中間報告での報告内容の通り、初期の目標を十分に達成できたと考えられる。 ただし,最終的な目的の達成に向けては低摩擦となるメカニズムはまだ不明となりますという課題がある。特に、パータンニング照射するなら、なぜ耐摩耗性が大幅に向上できるかまだは不明な点がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度の目的は、本手法による生成できた炭化硬質膜の低摩擦となるメカニズムを解明し、さらに炭化領域の膜厚パターンの作製し、より金属表面に耐摩耗性や低摩擦性を付与する新しい表面改質技術の開発を目指す。 具体的に、FFMにより膜最表面のせん断を計測し、さらにラマンやTEMなどを用いて低摩擦面を分析することで、レーザによる低せん断層を生成するような低摩擦となるメカニズムを検証する。そして、炭化領域の膜厚パターンの作製するため、既存システムを拡張し、光学系を再設計することで、種々のパータンニングを設計する。
|
Causes of Carryover |
摩擦試験後の再表面装置分析や光学系の改造など実験費用として計上していたが,今年度は大規模な分析回数が少なかった。研究代表者は個人的な原因で、特に今年国際会議参加回数は少なかった。また,英語論文についての校正費は今年度末までに投稿準備が完了しなかったため,計上しなかった。
|