2023 Fiscal Year Research-status Report
副噴流による境界層操作を用いた長方形噴流の混合拡散制御
Project/Area Number |
23K13256
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
寺本 裕志 石川工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (70847376)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 複数噴流 / 長方形噴流 / 副噴流 / 速度分布 / 流れ制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は長方形主噴流の流動特性を,主ノズル出口周囲からの副噴流及びノズル内壁面から噴出する副噴流によって制御することを目的としている.研究期間前半では,主ノズル出口を取り囲むように複数個の円形副ノズル(外周副ノズル)を設置した場合の,長方形噴流と複数円形噴流による異形複数噴流の流れ特性の解明と,主噴流到達距離(ポテンシャルコア長さ)の延伸あるいは混合促進(噴流の広がりの増加)に適する外周副ノズルの設置条件の確立を目標としている. 令和5年度は異形複数噴流の基本特性を調べることに重点を置いた.円形副ノズルを長方形主ノズル外周に一周,長辺側のみ,短辺側のみに設置した場合について,熱線流速計を用いた速度測定実験によって調べた.本実験結果から得られた成果についてはデータ整理が遅れ,年度内の公表ができなかったため,令和6年度中に日本機械学会流体工学部門講演会または日本機械学会北陸信越支部講演会にて発表予定である. また,本研究に関連が深い長方形噴流の流れ制御手法に関する研究に参加した.当該研究ではアスペクト比の大きい長方形ノズル出口にタブを設置することで,低Re数の長方形噴流の受動的な流れ制御を試みている.特に四角形形状のタブを設置することで噴流の広がりが抑制され,結果的にポテンシャルコア長さを延伸できることを,PIVによる速度測定実験と流れの可視化,及び数値計算により明らかにした.当該研究の内容は令和5年度中に論文として投稿し,令和6年4月末にJournal of Flow and Energy 2024 Vol. 2に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況としては当初予定よりも遅延している.主な要因として,石川工業高等専門学校機械工学科所有の二次元PIV装置による速度測定並びに流れの可視化実験を実施予定であったが,当該装置のレーザ発光部の故障が複数回発生し,修理・診断に数ヶ月単位の時間を要したことが影響している.また本研究費にて購入を計画していた熱線流速測定装置についても機材の値上がりにより予算オーバーの見込みであり,導入に踏み切れない状態である.代替策として,現状では研究協力関係にある金沢大学の実験装置を借用して実験をしているが,装置運転及び実験の実施のための移動時間が研究の効率を損なっている. 石川高専の二次元PIV装置の修理が完了すれば,安定的に実験を実施することが可能となり,研究進捗も改善される見込みである. また,令和6年元日の能登半島地震の影響も小さくなく,他業務により令和5年度中の研究エフォートが実質減少してしまったことも一因である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度中に実施した外周副ノズルを設置した場合の異形複数噴流の流れ特性に関する実験結果ついて,令和6年度中に開催される国内学会(日本機械学会流体工学部門講演会または日本機械学会北陸信越支部講演会)にて公表予定である. また,外周副ノズル数や主・副噴流の速度比が異形複数噴流の流れ特性に及ぼす影響について熱線流速計及び二次元PIV装置による実験によって調べていく.具体的には,副ノズル数の影響について,副ノズルを主ノズル出口全周に設置する場合の副ノズル数を8個から16個程度で数パターンに変化させた場合の速度分布や渦構造を,速度測定実験と流れの可視化によって調べる.主噴流速度に対する副噴流の速度比について,円形主噴流に対する複数円形副噴流による影響を調べた結果(課題19K23500)から,主噴流の速度減衰に影響するとみられる速度比0.3から2程度で変化させた際の流れ特性を主に実験によって明らかにする.
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Causes of Carryover |
本研究費申請時に計画していた熱線流速計及びその付帯装置一式の購入費用が値上がりしており,令和5年度中の導入を見送った影響がある. 令和6年度以降の前倒し請求も検討しながら,装置一式の導入を計画している.
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Research Products
(1 results)