2023 Fiscal Year Research-status Report
プラズマダイナミクスによる電気流体力生成の物理機構解明と縮約モデル構築
Project/Area Number |
23K13257
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中井 公美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (20897813)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プラズマアクチュエータ / 大気圧放電 / 低次元モデル / データ駆動科学 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,流れ制御アクチュエータの一つであるプラズマアクチュエータの産業的実用化を加速するため,数値シミュレーションと実験計測の連携によるプラズマダイナミクスの高精度解析手法の構築に取り組んでいる.本年度は,プラズマアクチュエータにおけるプラズマダイナミクスとそれによる電気流体力生成プロセスの空間3次元的特性および非定常特性を高精度に解析することを目的とし,数値シミュレーションモデルの高度化を実施した.主にプラズマ化学反応に着目した段階的な数値シミュレーションモデルの改良を行い,プラズマ化学反応の考慮によるシミュレーション結果への影響を調査するとともに,シミュレーション結果の妥当性を評価するための実験環境の整備を進めた.並行して,数値シミュレーションの計算負荷低減に向けて,プラズマダイナミクスを表現する縮約モデルの構築を目的とし,流体力学分野で提案されているデータ駆動型の解析手法のプラズマダイナミクス解析への適用可能性を検証した.本年度は,予備的調査として,従来の数値シミュレーションモデルを用いて構築したデータベースに,データ駆動型のモード抽出及びシステム同定手法を適用した.放電プラズマの形態と抽出されるモード特性との関係を明らかにするとともに,モード数と縮約モデルの精度との関係を調査した.その結果,モード特性及びシステムは,プラズマアクチュエータの駆動条件に大きく依存し,条件を変更した場合に縮約モデルの精度が低下する可能性が示唆された.今後はデータベース構築を加速し,プラズマダイナミクスに適した縮約モデル構築手法の開発を進める必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,プラズマダイナミクスに関する数値シミュレーションモデルの高度化が進展している.また,予備的ではあるが,モード抽出手法及びシステム同定手法のプラズマダイナミクスに対する適用性検討が進んでいる.一方,シミュレーション結果の妥当性検証及び縮約モデル開発に不可欠な実験計測データベースの構築は未だ実施できておらず,本項目は2024年度に実施予定である. 以上から総合的に判断して,本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2024年度は,プラズマダイナミクスに関する数値シミュレーションモデルの高度化を継続して実施する.並行して,実験環境を整備しプラズマダイナミクスに関する種々の実験データを取得することで,シミュレーションモデルの妥当性検証及び更なるモデル改良に取り組む.そして,高度化したシミュレーションモデルに基づく大規模データベースを構築・解析することで,特にモード抽出及びシステム同定の観点からプラズマダイナミクスの縮約モデル開発に向けた知見を獲得する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染症対策により予定していた学会等のオンライン開催への変更や出張制限があったため,また半導体不足により精密電子機器・実験装置等の入手が遅れているためである.翌年度以降に,実験データ解析・数値シミュレーション用ワークステーションやプラズマ発光解析用実験装置等を新たに導入し,研究を加速する予定である.
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