2023 Fiscal Year Research-status Report
The high-performance active control of powertrain vibration with compensation for time-varying control cycle based on flexible human-thinking-like strategy
Project/Area Number |
23K13273
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米沢 平成 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50944328)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | パワートレイン / アクティブ振動制御 / ファジィ推論 / ファジィ制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主要な成果として,人間の柔軟かつ定性的な思考をパワートレインのアクティブ振動制御系に導入することで,時変制御周期に対する効果的な補償メカニズムを構築した.具体的には,モデルベース制御器と人間の判断を模したファジィ推論の融合を検討し,その振動制御性能をパワートレイン機構に適用することで検証した.研究の内容としては,最初に部分的なパワートレインの動特性モデルを利用することで,ベースとなる振動制御系を構築した.この制御器は.長く一定の制御周期で適切な制御指令を算出する役割を担う.さらに,1ステップ先の指令値も予測する必要があるため,モデル予測処理を用いた.次に,人間の判断を模したファジィ推論規則と推論方法,およびチューニングパラメータであるメンバーシップ関数について検討を行った.本研究で提案する推論の重要なアイデアは,時間変動する制御周期の特性を一定周期の制御器に対するあいまいさと見なし,ファジィ集合を用いて記述することである.提案手法は人間の直感的思考を推論規則として模倣することで,時間変動する制御入力の更新タイミングに効果的に対処できる.推論手法としては,その優れた計算効率に着目し,先行研究の塚本型推論法が採用された.また,推論規則中で使用する出力変数のファジィ集合を表現するため,簡便な三角形型のメンバーシップ関数を使用した.以上のファジィ推論に基づく提案手法の有効性について,主に時間変動周期制約を設定したパワートレインモデルに基づくシミュレーションによって検証した.様々な条件下で制御性能を考察した結果,制振性能の改善効果が確認された.上記と関連し,基礎となる成果は学会や学術論文等で発表されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画をふまえて,提案手法の核である人間の柔軟かつ定性的な思考を模したファジィ推論規則の構築と動作確認,ベースとなる振動制御系の検討,パワートレインに設定する時変制御周期制約,制御系の性能確認は遂行できた.以上より,提案手法を構成するアイデアの基礎部分が確立された点において,研究計画は概ね順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の検討課題としては,提案手法であるファジィ推論を用いた時間変動周期補償について,より多様な検証条件で制御性能を確認し,さらに詳細な考察を行うことが挙げられる.例えば,プラントの動特性変化や制御周期の変動量をよりシビアに調節することで,制御系のロバスト性をより詳細に確認する.必要に応じて,制御系のチューニングや拡張も検討する.また,ベースとなる振動制御系ついても,改善を見据え検討を試みる.ファジィ推論で用いるメンバーシップ関数や推論手法の選択については,振動性能の改善や制御系の簡便化につながるものがあれば,必要に応じて導入を図る.また,関連する研究成果の対外発表,具体的には学術論文の執筆や学会参加に注力する.
|
Causes of Carryover |
本年度では,主に提案手法の核となるファジィ推論の検討に注力したため,研究や対外発表の計画にやや変更が生じた.来年度は成果発表等にもより注力をすることで,学会参加費用や論文投稿費用,物品購入などに予算を使用する予定である.
|