2023 Fiscal Year Research-status Report
Development and control research of endoskeleton-type knee assist orthosis by three-dimensional arrangement of pneumatic rubber artificial muscles
Project/Area Number |
23K13283
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
戸森 央貴 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (30783881)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工筋肉 / 空気圧 / パワーアシストスーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
農場や工場での作業では腰や膝に負担のかかる姿勢が多く、腰痛や膝痛などの原因となっている。解決策のひとつにパワーアシストスーツがあるが、硬い部材を身体に取り付ける外骨格型が多く、高重量化や動きにくさなどに課題がある。そこで軽量、柔軟、高出力密度な空気圧ゴム人工筋肉を利用し、硬い部品を使用しない内骨格型の補助装具の開発を行う。 本年度は装具が補助力を発揮するための機構設計と試作を進めた。基本コンセプトは人体表面に人工筋肉を配置するものであり、補助対象となる部位の筋配置を参考にしている。初期試作として下肢の補助機構を開発しており、単一の人工筋肉が複数の関節を跨ぐ構造を採用した。これにより構造の複雑化を回避し省アクチュエータ化を実現した。さらに、「物体の持ち上げ等の作業は下肢だけでなく背筋など他の筋肉との連携によって行われる」という医療分野からのフィードバックを受け脊柱起立筋の補助も追加した。さらに配置した人工筋肉が膝周りに発生させるトルクの計算モデルを構築し、必要な人工筋肉の出力を計算可能にした。 続いて、本装具に適した人工筋肉の検討を行い、従来の人工筋肉と異なる構造を有する状態遷移式人工筋肉を開発した。これは従来の人工筋肉に比べ伸びやすい特徴を有しており、人工筋肉としての強い収縮力と衣服のようなフレキシブルさの二面性を持ち合わせる。前述のモデルによる出力計算と出力特性実験により、本人工筋肉が装具に必要な収縮力、収縮量、伸びを有していることも確認している。 現在は装具の補助効果を実験的に調査中であり、この結果を基に装具の改良を進める予定である。本装具の社会実装を実現することで一次産業を支える労働者の離職軽減や労働人口増加に貢献できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた試作装具の開発ではおおむね構想通りに開発を進めることができた。ただし、本学医学部で受けたフィードバックを基に補助部位に脊柱起立筋を追加するなど、予定外の開発事項もありスケジュールに多少の影響が出た。 また、補助効果の定量的な評価については表面筋電位計に加えて重心動揺計と心拍計を導入し、疲労による影響も検証した。この結果は当初の予想と異なり、筋活動量には補助の有無による明確な差異が見られなかった。一方で、補助を行った際に重心動揺や心拍は低減する傾向が見られ、疲労軽減効果があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検証実験結果では筋活動量、重心動揺、心拍数で補助効果を評価したが、評価項目によって評価が分かれた。これを受けて、従来の外骨格型が短期的な筋活動量で効果が見られるのに対し、内骨格型は長期的な疲労に対し効果がみられるのではないかと考えている。 次年度は人工筋肉の特性を考慮した制御手法の確立や、空気消費量の削減を目指す。また、本装具の補助効果を詳細に調査し、適切な評価手法を確立することも目指す。
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Causes of Carryover |
表面筋電位計とモーションキャプチャシステムの同期を取るために専用の同期装置の購入を予定していた。しかし、業者と検討を進めるうちに研究室リソースと工夫によって安価に同期可能であるとの見解に至った。そこで、まずはコストを抑えた手法で実験を試み、不足が生じた場合に専用装置の購入を検討することとした。 また、装具開発において縫製業者や金属加工業者に加工を依頼したが、想定よりも費用が安く抑えられた。さらに、開発中のミスやアクシデントもほとんど起きなかったため、部品や部材、消耗品のロスを抑えることができた。 これにより次年度使用額が生じたため、次年度の開発では装具の完成度向上に費用を割くことが可能であると考える。具体的にはこれまで研究室で自作していた部品の外注や、先端材料の採用を進めることで、装具の軽量化や高信頼性を実現できると考えている。本装具はユーザーが着用するものであり、着心地や外観といった主観的な部分も評価に影響を及ぼす。そのため、装具の高品質化は研究を進めるうえでも重要である。
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Research Products
(1 results)