2023 Fiscal Year Research-status Report
高性能同期モータを創出するマルチフィジックス3次元トポロジー最適化法の開発
Project/Area Number |
23K13312
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大友 佳嗣 長崎大学, 工学研究科, 助教 (60964442)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 永久磁石モータ / 同期リラクタンスモータ / トポロジー最適化 / ガボールフィルタ法 / ブーリアン幾何射影法 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで,計算機を用いて同期モータの最適な回転子構造を自由変形により探索する,3次元トポロジー最適化法を開発してきた。しかし,申請者がこれまで検討してきた手法はモータの磁気特性改善に限定されており,高速回転時における機械強度や磁石耐熱性能をも考慮した,実用に耐える3次元トポロジー最適化手法の確立には至っていなかった。 本研究では,同期モータの磁気・力学・熱特性を実機駆動条件下において飛躍的に改善する,マルチフィジックス3次元トポロジー最適化法を開発する。本手法により,電気自動車などにおける厳しい要求仕様を満足する,同期モータの革新的な3次元構造を実現可能とする。 2023年度は上記目的を達成するため,次の研究を実施した。(1)トポロジー最適化においてスリット状の磁気コア形状を実現するためのガボールフィルタ法を開発し,永久磁石モータの磁気特性改善における有効性を示した。(2)磁石寸法パラメータと磁気コアトポロジーを同時に考慮可能な永久磁石モータの3次元トポロジー最適化法を開発した。(3)非対称永久磁石モータのマルチマテリアル3次元トポロジー最適化法を開発し,対称構造に対して大幅にトルク性能を改善できることを示した。(4)実製造性を考慮しながら,設計領域内において磁石形状を自由に表現可能とするブーリアン幾何射影法を開発し,既存の寸法パラメータ最適化では得ることが難しい,新規の回転子構造を実現することに成功した。 これらの研究成果はいくつかの国内学会および国際会議において既に発表しており,原著論文を現在3件投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はガボールフィルタ法やブーリアン幾何射影法といったトポロジー最適化法を開発し,スリット状の磁気コアを含む永久磁石モータの新しい最適形状を導出することに成功した。また,上記手法を利用した3次元トポロジー最適化により,既存の設計概念では導出困難であった新規の3次元回転子構造を実現することに成功した。以上より,2023年度は当初の計画通り,順調に研究が進捗していたと考える。 なお,永久磁石モータの3次元形状最適化法については,電磁界解析に関する最大の国際会議(CEFC2024)で発表した後に,学術雑誌(IEEE Transactions on Magnetics)に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は以下の研究を実施予定である。(a)ガボールフィルタ法やブーリアン幾何射影法を用いて,磁気・機械・熱特性を考慮した永久磁石モータ最適形状の導出に取り組む。(b)既存の2次元最適形状に対する,3次元最適形状の優位性を磁界分布などから定量的に示す。(c)実機における実際の運転領域(低速・高トルク領域,高速・低トルク領域)を考慮した最適化を行い,広い運転範囲においてロバストな永久磁石モータ最適形状の導出に取り組む。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表効果を高めるため,2023年度に発表を予定していた国際会議(OIPE2023)への参加を,2024年度の国際会議(CEFC2024)での発表に予定変更したため,次年度使用額を生じた。 2024年度は上記国際会議への旅費に,上記の次年度使用額を使用する予定である。また,現在投稿中の論文3件(IEEE Access, IJAEM)は,その掲載料に日本円で15万円~30万円ほど掛かるため,そちらの掲載料支払いに2024年度予算と次年度使用額を合わせて割り当てる予定である。
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