2023 Fiscal Year Research-status Report
Si系Li-ionキャパシタの劣化機構に基づいた高耐久性Si負極の開発
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23K13319
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
江口 卓弥 日本大学, 工学部, 助教 (40965373)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 蓄電デバイス / リチウムイオンキャパシタ / Si負極 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来のリチウムイオンキャパシタでは、負極材料を銅はく上に厚く堆積させて、正極材料に対する負極材料の量を相対的に増やすことで、サイクル寿命の改善が図られている。しかし、シリコン堆積層を厚くすると、個々のシリコン粒子の膨張収縮が不均一になり、かえって負極の機械的変形を増長させると予測し、異なる厚さの堆積層を有するシリコン負極を製造した。シリコンには安価な粒径2.0マイクロメートルを使用し、ポリイミド系バインダーと導電助剤を混合して塗工器を調整して異なる厚さの堆積層を有するシリコン負極を製造した。正極には一般的な活性炭(比表面積:~1700m2/g)を活物質とした活性炭電極を採用した。それらを組み込んだリチウムイオンキャパシタの電気化学特性を評価した。 堆積層の厚みがシリコン粒子の5倍の10マイクロメートルと非常に薄いシリコン負極を用いたリチウムイオンキャパシタが最も長いサイクル寿命を示した。そのサイクル寿命は3万回の充放電サイクル後でも、初期のエネルギー密度に対して78.3%のエネルギー密度を維持していた。また、およそ1 kW/kgの出力密度においても、100Wh/kgに近いエネルギー密度が得られており、高出力密度でも高いエネルギー密度を示した。シリコンの場合、個々の粒子を密に堆積させて、1粒子あたりの負担を軽減するより、1粒子あたりの負担を増加させても、電極構造の崩壊を抑制する方が、長寿命化には効果的であることが分かった。また、堆積層が薄いと電極材料そのものが少なくなるため、必然的にエネルギー密度と出力密度も向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコン負極を用いたリチウムイオンキャパシタにおいて、シリコン負極の堆積層を薄くすることでサイクル寿命が向上し、3万サイクル後でエネルギー密度を78.3%維持できるリチウムイオンキャパシタを作製した。また、シリコンの場合、個々の粒子を密に堆積させて、1粒子あたりの負担を軽減するより、1粒子あたりの負担を増加させても、電極構造の崩壊を抑制する方が、長寿命化には効果的であることが分かった。そのため、おおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画通りに研究を進めて行く。エネルギー密度を犠牲にすることがない手段でのさらなるサイクル寿命の向上に取り組む。サイクル寿命向上のためには電極構造の崩壊を抑制する方が長寿命化には効果的であることが分かった。一方で、粒径2.0マイクロメートルのシリコンを現状よりも薄く塗工することは困難である。そのため、電極の機械的特性の向上によるサイクル寿命の長寿命化、または、ナノシリコンを用いた電極の薄化を図る。
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Causes of Carryover |
事前の見積と僅かに金額が異なったため、次年度の研究で使用する電極材料費として使用する。
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