2023 Fiscal Year Research-status Report
低Rs・高Jc超伝導薄膜を用いた高感度NMR用超伝導RFコイルの開発
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23K13365
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
作間 啓太 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30781976)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NMR用超伝導RFコイル / 銅酸化物高温超伝導体 / 磁束ピン止め点 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療・材料など広範な分野で必要不可欠な分析装置である核磁気共鳴(NMR)装置では測定感度向上が至上命令とされ、感度向上の手段として『NMR用超伝導RFコイル』が期待されている。本年度はRFコイルに用いる超伝導材料の特性向上を試みた。具体的には、バッファ層を改善したREBCO薄膜に磁束ピン止め点としてBaZrO3を導入し、磁場中における超伝導特性(特に、表面抵抗および臨界電流密度)低下の抑制を行った。 磁束ピン止め点としてBaZrO3をREBCO薄膜に導入しても、REBCOの結晶性や超伝導転移温度は低下せず、REBCO組織を破壊せずにBaZrO3が導入できることがわかり、自己磁場中臨界電流密度および表面抵抗は向上した。磁束ピン止め点を導入したREBCO薄膜は導入していない薄膜に比べて超伝導特性の低下が抑制された。特に、磁束ピン止め点を導入することにより表面抵抗の増加を抑制できることが明らかになった。また、Ceraco社から市販されているREBCO薄膜と比べて、表面抵抗は1/2以下に、臨界電流密度は3倍以上の値を示し、磁場中においても高い超伝導特性を維持することがわかった。 電磁界シミュレーションを用いてNMR用超伝導RFコイルを設計し、その設計を下に、この高特性REBCO薄膜を使用し、フォトリソグラフィおよびArイオンエッチングを用いてNMR用超伝導RFコイルを作製した。現在、高周波特性の測定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
REBCO薄膜への磁束ピン止め点導入に成功し、かつ、超伝導特性が向上することを実証した。また、すでに、そのREBCO薄膜を用いたNMR用超伝導RFコイルを作製している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、NMR用超伝導RFコイルの作製および電磁界シミュレーションによるRFコイルの検討を繰り返し、得られた知見をフィードバックしながら高感度NMR用超伝導RFコイルの開発を試みる。 特に、電磁界シミュレーションから均一な磁場が発生可能なコイル構造の検討を行い、実際にRFコイルを測定し、均一磁場が発生可能なコイルの作製が可能か検証する。
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Causes of Carryover |
物品費として、電気炉システムを計上していたが、システムの一部分を譲り受けることができ、計上した経費よりも安価に導入できたためである。 予算計上した物品費および消耗品を予定通り購入し、電気炉システムが安価に構築できたための余剰費は圧力測定機購入などの電気炉システムのアップグレードに使用する。
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