2023 Fiscal Year Research-status Report
光電融合LSIへ向けた絶縁膜上におけるGe系光学材料の結晶成長と光電デバイス応用
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23K13370
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
松村 亮 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主任研究員 (90806358)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 半導体 / 光デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
光電融合デバイスへの応用のため、Ge系光学薄膜材料の研究開発を行っている。申請者は非熱平衡な高速CWレーザーアニール法により、高い伸長歪と熱平衡固溶度を超える元素導入を両立したGe系薄膜を実現している。昨年度はこの手法により、Ge系薄膜中への高濃度n型ドーピングおよび活性化による光学特性の向上を目指した。条件を最適化することにより、70%以上の活性化率による高キャリア濃度(~10^20 cm^-3)と高伸長歪を両立するn型Ge系薄膜の結晶成長を実現した。これは、報告されているGe系薄膜材料の中で最も高い活性化率とキャリア濃度である。また、これに伴い、Ge系薄膜材料の発光特性を評価したところ、従来のGe系薄膜の10倍以上の発光効率を有することも示すことができた。これらの成果は、近赤外発受光源としてのGe系薄膜のポテンシャルを示すとともに、申請者の開発した高速CWレーザーアニール法の有用性も示す結果である。これらの結果は論文(Applied Physics Letters, AIP社)へ投稿するとともに、各種学会(応用物理学会・Inter national Conference on Solid State Device and Materials)にて発表し、MRS-J主催の国際学会(Advanced Materials Research Meeting/ IUMRS-MRM2023)においてSilver Awardを受賞するなど、高い評価を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ge系薄膜において高い伸長歪と高い活性化率を有するn型ドーピングの実現ができた。キャリア濃度と活性化率を報告されているGe系薄膜材料の中でベンチマークしたところ最高水準であり、光学材料のみならず電子デバイスや熱電材料など幅広い応用が期待できる成果である。<br> また、得られた薄膜の光学特性をフォトルミネッセンス法で測定したところ、従来Ge薄膜の10倍を超える良好な発光特性を示しており、目標とするGe系光学素子への応用に道筋を付ける成果であると考える。<br> これらのことから、研究はおおむね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は添加元素の最適化によるさらなる不純物活性化率の向上、界面絶縁膜の変更による結晶粒系の増大、水素元素導入による点欠陥の不活性化などを通じてさらなる発光効率の増大を目指す。 また、目標とする周期的ナノ構造のパターニング技術開発にも着手する。まずはRIE等のドライエッチングの条件を変調することで、エッチング条件による微小ダメージの導入や元素析出、歪み緩和などの発生を抑えられる条件を探索し、高品質な周期的ナノ構造の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
相見積もりの取得や積極的な見積もり競争を実施することにより、当初予定より安価に調達できた物品・消耗品が複数あったため残余金が発生した。真空装置の真空度が悪化しているため、そのメンテナンスのために支出する予定である。
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