2023 Fiscal Year Research-status Report
極低温環境下におけるSi-MOS界面散乱体の起源解明に向けた定量化手法の確立
Project/Area Number |
23K13379
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡 博史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (10828007)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Si-MOSトランジスタ / クライオCMOS / 極低温 / 界面準位評価 / キャリア捕獲 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子コンピュータの制御・読み出し用集積回路はクライオCMOS回路と総称され、冷凍機内部の4ケルビンでの動作が必要となる。そのため、高い精度で量子ビットの制御・読み出しを行うためには、集積回路を構成するSi-MOSトランジスタの4ケルビンでの動作特性をよく理解する必要がある。極低温下では多くのデバイスパラメータが従来の理論に基づく予測から逸脱することが知られている。最近の研究から、これら極低温特有の特性変化はバンド端に存在する高密度の局在準位が原因であると指摘されている。したがって、バンド端準位を定量的に評価し、その物理的起源を明らかにすることは学術的知見の追求のみならず量子コンピュータ開発においても重要なテーマである。しかしながら、容量測定など従来の欠陥準位評価法ではキャリア凍結により極低温下での適用が困難である。 本研究では、極低温環境下における界面欠陥準位の定量化手法を確立し、キャリア捕獲・散乱の起源を実験的に解明することを目的とする。本課題では、極低温下での界面欠陥の評価法として光支援チャージポンピング法(Photo-assisted Charge Pumping)を提案する。キャリア凍結下においても光照射によって再結合に十分な多数キャリアを生成できれば、界面欠陥の直接評価が可能になる。今年度はCP法の極低温適用に向けた基礎検討として、Si-MOSトランジスタ用いた室温から2.5 Kまでの温度依存CP測定を実施した。この結果、従来のCP測定では室温から約50 Kの温度範囲まではCP電流が観測された。このとき、50 KでのCP測定は測定周波数および立ち上がり・立ち下がり時間を多数キャリアの追従に十分な条件とする必要があり、これにより容量測定に近い精度で界面欠陥量を評価できることがわかった。以上の知見をもとに、50 K以下でのCP測定に向けた光照射系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はCP法の極低温適用に向けた基礎検討として温度依存性の評価を進め、測定周波数やパルス条件に関して最適な条件を見出すことができた。一方、本研究課題の提案である光支援測定に向けた装置セットアップの構築に時間を要しており、当初計画からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はこれまでに得られた知見と構築したセットアップをもとに50 K以下での光支援CP測定に取り組み、対象とするバンド端準位の評価に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題の提案である光支援CP法では新規に装置セットアップを構築する必要があるが、今年度はその設計に時間を要したため、必要消耗品・備品の一部を次年度に購入することとしたため。
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