2023 Fiscal Year Research-status Report
振動特性に着目した橋梁損傷検出の為の全自動モニタリングシステムの開発と実験的検証
Project/Area Number |
23K13398
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
下妻 達也 福岡大学, 工学部, 助教 (70847756)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 構造同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
橋梁の振動特性を専門家でなくても自動的かつ高精度に推定するシステムの構築を目指しており,昨年度は振動特性推定の推定手法の改良およびモニタリングシステムの構築を予定していた.本システムにおける振動特性推定では確率的部分空間法(以下,SSIと記す)および周波数帯域の分離推定法(以下,分離推定法と記す)を用いているが,従来は専門知識を有する者が試行錯誤しながら各種パラメータの設定を行う必要があった.今年度は各種パラメータの内,結果に及ぼす影響の大きい3つのパラメータ(SSIのモデル次数,特異ベクトル長および分離推定法の振動数閾値)を一義的に決定する方法の検討を行ったが,シミュレーションおよび実橋梁計測の振動データから最適値を決定する手法を開発することができた. また,これらの手法を組み込んだ計測システムを開発した.過酷な環境下でも動作するノートPC ToughbookにNational Instruments社のA/Dコンバータ,TEAC社の加速度センサから構成されるシステムで,MATLABのData Acquisition Toolbox等を活用して開発したプログラムによりこれらの機器の制御を行い,橋梁の振動計測を行う.また,得られた振動データからSSIおよび分離推定法を用いて振動特性推定を自動的に行えるようにした. 今後は開発したシステムを用いて様々な橋梁での振動計測・振動特性推定を実施する予定であるが,パラメータ決定方法の検討において他にも検討すべきパラメータがいくつか明らかになり,次年度はこれらのパラメータについても一義的に決定する方法を検討し,最終的に計測システムへ組み込む予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の目標であるパラメータ決定方法の検討およびシステム開発は完了しており,進捗状況は概ね順調と考えている.一方,検討すべきパラメータが新たに明らかになる等の課題もあるため,令和6年度は全てのパラメータ決定方法の検討とシステムへの組み込みを実施する.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,開発したシステムを実橋梁に適用し,計測テストの実施と振動データ計測を実施する.これと平行して年度前半にパラメータ決定方法の検討を実施し,年度後半にシステムへの組み込み・実橋梁での計測テストを実施する予定である.
|
Causes of Carryover |
当初National Instruments社のLabVIEW購入(約70万円)を予定していたが,MATLABで開発する方が有利であることが判明したため購入を取りやめた.このためその分の経費が残っている.使用計画は,多点計測実施のための加速度センサ2基(約35万円)の追加購入と,MATLABにおけるプログラム開発のための技術情報収集(学会参加と書籍購入)への使用を予定している.
|