2023 Fiscal Year Research-status Report
Bayesian estimation of soil layer parameters and immediate prediction of spatial distribution of hit probability in debris flow simulation
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23K13412
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山野井 一輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (30806708)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 土石流 / 確率ハザードマップ / 土砂災害 / 不確実性評価 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
豪雨時に発生する土砂災害は,降雨や地形条件だけでなく,土層の厚さや透水性や粒径組成等の条件に支配される現象である.これらの各条件を入力とした土砂災害シミュレーション技術が開発されてきたが,土層パラメータは空間分布を持ち,網羅的な調査が困難なため,事前かつ一意に決定することは難しい.このため,シミュレーションを用いて影響範囲を正確に事前予測することは困難である.一方で,近年は航空LP差分による地形変化や,衛星・航空写真に基づく土砂移動範囲の形状など,災害発生時にリッチな観測データが得られる.そこでこのような観測データを用いて,土層パラメータの確率密度関数をベイズ推定に基づいて逆推定することを試みる.また,推定される確率密度関数と,地質等の因子との関係性を分析することで,過去の災害データがない領域でのパラメータ推定の実現可能性を検討する.その上で得られる,または予測される確率密度関数を入力に乱数生成したアンサンブルシミュレーションにより,土砂災害の被害領域を確率として予測する技術を開発する.初年度である2023年度は,初年度は理論の構築と,これまで開発してきたシミュレーションを用いたプロトタイプの実装を行った.広島県総頭川流域を対象とした土石流シミュレーション中の,5つのパラメータを変化させた多数のシミュレーション結果と近似ベイズ計算を用いることで,5パラメータの確率密度関数の推定が想定通り可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は複数のパラメータを変化させた多数のシミュレーションと,近似ベイズ計算に基づく確率密度関数の推定方法を構築した.5つのパラメータを対象に,広島県総頭川流域のシミュレーションを用いて試験適用を行い,想定通り各パラメータの確率密度関数の形状が推定可能であることを確認した.基礎的な方法論の構築が達成したことを踏まえ,2023年時点では順調に推移していると自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の方法論をベースに,予測対象のパラメータ絞り込み,パラメータの空間分布の考慮方法の検討を行い,手法の高度化に取り組む,また複数の流域に適用し,パラメータの確率密度と地質・地形・気候等との相関関係を分析し,予測可能性について検討を行う.その後,パラメータ確率密度を入力とした土砂災害の確率ハザードマップを試験的に構築し,その妥当性等について検証を行うことを予定している.
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Causes of Carryover |
本研究に使用するストレージサーバーの導入を計画していたが,価格高騰の影響で,次年度経費等と合算して購入することとした.このため2024年度に物品費として当サーバーを購入する予定である.
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