2023 Fiscal Year Research-status Report
観測記録と数値実験を相互活用した地形による津波の周波数応答特性の推定
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23K13413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 卓也 京都大学, 防災研究所, 助教 (60874104)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 津波 / 周波数応答 / 共振 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は理論的な枠組みの整備を行い,予備計算結果との比較を行った. Lee (1969,1971)の理論をもとに湾内に入射する長周期波に対する応答振動を推定した.この理論では,微小振幅波を仮定し湾内と湾外の領域それぞれで速度ポテンシャルを考え,湾口にて湾内外でのポテンシャルの解を接続する.入射波条件を規則波とし,線形分散関係によって鉛直方向に変数分離を施せば,ポテンシャルの支配方程式はヘルムホルツ方程式となり湾内と湾外でそれぞれ満足される.この湾外・湾内の2つの領域の支配方程式に対して個別の境界条件を適用することで,湾内の任意の地点に対する周波数の応答が計算される.数値的に周波数毎に繰り返し計算を行えば,任意の周波数での振動応答特性が計算可能となる.上記の手法を日本の様々な湾に適用し,周波数応答関数や卓越周期を求めた. この理論を日本の湾に適用し,既存の単純化した理論式や実績との比較を行った.例えば東京湾では,単純な地形を仮定した従来理論で表現される1次,2次モードのような卓越周期は本研究の理論では明瞭には現れず,実地形の複雑な海岸線形状を考慮したことの影響が表現された.特に,60, 145分程度で増幅率が大きく,先行研究で示されている卓越周期と一致する.さらに,東京湾内を形成する小さな湾の地形効果によって,湾奥部では東京湾固有周期より短い周期で卓越成分を複数もつことがわかった.同様に,田辺湾では40分程度の卓越周期が見られ,観測事実として得られている田辺湾の固有周期と整合する結果を得た.以上より,本研究手法で計算された振動応答特性は妥当性をもつことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に初年度予定していた理論を実地形に適用する目標が達成されたため.
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Strategy for Future Research Activity |
理論で求めた応答関数については,湾外と湾内での海水の流入量・流出量を考慮しておらず,大きい流入量を必要とする固有振動モードについては実際には発生し得ない.この水の量を収支を考慮し,発生する可能性について検証する.また,本研究手法で扱った理論は湾内の水深を一様と仮定しており,一様でない水深分布をもつ実地形へ適用するためには代表水深を定める必要がある.この仮定の適用限界と代表的な湾内の水深の決定方法について他の理論式も用いながら考察するとともに,多数の仮想津波シナリオによる計算結果も用い,理論と計算によって求めた応答関数について,相互の妥当性検証を行う.
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Causes of Carryover |
家庭の都合で当該研究のための渡航計画を見直し,次年度へ延期することとしたため
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