2023 Fiscal Year Research-status Report
フェーズドアレイ気象レーダによる三次元観測データを活用した洪水予測
Project/Area Number |
23K13416
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
吉見 和紘 富山県立大学, 工学部, 講師 (80962208)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フェーズドアレイ気象レーダ / 降水ナウキャスト / Dualドップラー解析 / 三次元風速場 / 鉛直風 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェーズドアレイ気象レーダで観測されたドップラー風速を三次元風速場の推定を行った。また、従来のパラボラ型気象レーダで観測されたドップラー風速を併用し、Dualドップラー解析を行った。両者の解析結果を比較し、それぞれの特徴を整理すること、Dualドップラー解析による鉛直風推定結果がVVP法を用いた鉛直風の推定結果よりも優れた推定値をもたらすことが示された。 また、フェーズドアレイ気象レーダの特徴である高密度な仰角数が、三次元風速場の推定精度にもたらす影響を評価するため、従来のパラボラ型気象レーダにおける鉛直方向の仰角密度とフェーズドアレイ気象レーダの仰角密度、それぞれにおいて風速場を推定し、両者の結果を比較した。その結果、VVP法による推定結果に顕著な差が見られなかった一方で、Dualドップラー解析においては、高密度な仰角データを用いた解析結果の方が、推定結果のばらつきが小さくなることが示された。具体的には、解析結果の傾向として、仰角密度が低くなると弱風の頻度が多くなり、強風の頻度が少なくなる傾向であることがわかった。 さらに、これらにより推定された風速場をナウキャストに導入し、予測精度の改善を試みた。具体的には推定された鉛直風をしきい値として、上空の雨水の生成を抑制するアルゴリズムを導入し、降水ナウキャストを実施した。引き続き、ナウキャストにおいて降水予測を行う上で重要となる鉛直方向の水分量の算出に鉛直風の情報を活用することで雨水の上空の滞留時間を適切に評価し、モデルを再構築していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉛直風の推定アルゴリズムがおおむね確立され、100仰角以上のフェーズドアレイ気象レーダの観測データと10仰角程度のパラボラ型レーダの観測データを用いた風速場推定の解析環境が構築されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ナウキャストにおいて降水予測を行う上で重要となる鉛直方向の水分量の算出に鉛直風の情報を活用することで雨水の上空の滞留時間を適切に評価し、モデルを再構築していく予定である。また、予測雨量データを用いた水位予測を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当時の研究の進捗を考え、参加を予定していた学会への参加を見送った。R6に類似の学会で成果発表を実施する予定である。
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