2023 Fiscal Year Research-status Report
水中の溶存ホウ素の検出を可能にする新規センサ材の創製とその検知機構の解明
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23K13432
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
伊達 勇介 米子工業高等専門学校, 化学・バイオ部門, 准教授 (80505537)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / 界面活性剤 / 蛍光色素 / ホウ素 / 蛍光 / 環境汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の環境問題は、それらを引き起こす対象が微量かつ微小となり、また、その発生のバックグラウンドも複雑化している。そのため、高感度かつ分子選択性の高い我々のセンサ材料は、持続可能な開発を行うためには、必須の材料である。 層状複水酸化物(LDH)を基材とした新規センサは、迅速かつ高感度で分子選択性が極めて高いといった環境モニタリング材料として有意な特徴を有している。しかし、検知対象がガス分子に限定されるため、その用途が限定的という課題があった。そこで、本申請課題では水中溶存イオンに対するセンシング能を付与することで、さらなる高機能化を達成する。そのために、基材であるLDHに蛍光色素を複合化させた新規高感度センシング材料を創製し、その蛍光発光特性を詳細に評価することも目的としている。
炭酸イオン型Mg-Al系LDHを原料に、発光色素でホウ素検知のための指示薬であるクロモトロープ酸(CTA)および界面活性剤である1-ブタンスルホン酸(C4S)を複合化するための諸条件の検討およびその合成条件の最適化を行った。LDHに導入するCTAおよびC4S量を変化させて数種類の複合体を作製し、複合体のホウ素検知能を3次元蛍光スペクトルにより評価した。その結果、蛍光色素の導入量が低い複合体がより、ホウ素検知能が高いことが明らかとなった。一般的な色素は、固体状態や会合状態において色素が会合体を形成し、濃度消光あるいは自己消光と呼ばれる状態を引き起こすことが知られている。CTAの添加量が一定以上になると、このような会合体の形成が促進されたのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭酸イオン型Mg-Al系LDHを原料に、発光色素でホウ素検知のための指示薬であるクロモトロープ酸(CTA)および界面活性剤である1-ブタンスルホン酸(C4S)を複合化するための諸条件の検討およびその合成条件の最適化を行った。 予備実験からLDHの層間に酢酸イオンを導入した前駆体を作製することで、目的とするLDH/CTA複合体が作製できることが判明していたため、LDHに導入するCTAおよびC4S量を変化させて数種類の複合体を作製した。作製したこれらの複合体のホウ素検知能を3次元蛍光スペクトルにより評価した結果、蛍光色素の導入量が低い複合体がより、ホウ素検知能が高いことが明らかとなっており、今年度の目標としては達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
複合化するCTA量を低減することで発光強度が増加する傾向が認められた。そこで、導入量の更なる低減化を行い、発光強度との関係性を評価し、導入量の最適化を進める。その後、ホウ素検知前後の試料のCHN元素分析、ICP-AESおよびFT-IRなどにより、層間内のCTA量およびホウ素量を決定する。さらにXRD測定等から層間内におけるホウ素-CTAの配向状態を推測し、発色・発光のメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
旅費が想定よりも安価になり残額を生じた。残額は、次年度の旅費として使用する。
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[Journal Article] Effect of Electrospun Nanofibrous Film on Drilling-Force Reduction for Fine-Hole Drilling in Metals2024
Author(s)
Yusuke Date, Haruhi Sunaba, Yuki Oyama, Takahiro Sato, Takashi Yamawaki, Mika I. Umeda, Takatoshi Fujii, Eiichi Hino, Chikashi Naito, Kaoru Aoki , Minoru Goto
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Journal Title
Tribology Online
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Effect of Nanofiber Layers Prepared by Electrospinning on Drilling Fine Holes in Metals2023
Author(s)
Yusuke Date, Haruhi Sunaba, Takahiro Sato, Tsuyoshi Fujita, Takatoshi Fujii, Eiichi Hino, Chikashi Naito, Mika Isoyama, Kaoru Aoki, Minoru Goto
Organizer
9th International Tribology Conference, Fukuoka
Int'l Joint Research